研究課題/領域番号 |
19K20278
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
夏川 浩明 大阪成蹊大学, 教育学部, 准教授 (90712951)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 情報可視化 / 非線形状態空間再構成 / 動的ネットワーク / 視覚的分析 |
研究実績の概要 |
本研究では計測された時系列データのデータ間の動的な関係性を定量化し背景のシステムの理解を深めるために、非線形状態空間再構成(State space reconstruction: SSR)を用いた解析手法によりデータ間の動的な関係性を定量化する手法を開発し、定量化した関係性から動的ネットワークを構築する。また、これらの解析ワークフローとインタラクティブな可視化技術を結び付けてユーザー理解を促進することで、生態学や神経科学等の自然科学分野知見創出のための動的ネットワーク分析のための可視化システムの構築を目指す。R4年度の実績としては、R3年度までに作成した、Empirical Dynamic Modeling(EDM)と可視化技術を組み合わせて実現した、動的ネットワークの状態と遷移の解釈を支援する可視化分析システムについて、これまで適用を進めてきた生態学データを超えて、神経科学のデータ等他分野の時系列データの分析を行った。特に神経細胞の発火パターンの状態の遷移や解釈を行い、共同研究者らと議論を重ねた。これらの取り組みをR4年4月の国際ワークショップ(China-Japan Joint Visualization Workshop)で口頭発表した他、日本シミュレーション学会誌への原稿執筆など成果公表を進めた。コロナ禍の影響で一部開発や打ち合わせなどは延期となったが、以上の成果を踏まえ、引き続き最終年度に、共同研究者らとの議論に基づく更なるシステムの改良や、生態学以外のデータへの適用による知見創出を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況としては、非線形状態空間再構成法(SSR)により計測時系列データ間の時間変化する関係性を計算する手法(Empirical Dynamic Modeling:EDM)により、動的ネットワークを構築し、t-SNEやPCA、UMAPなどの種々の次元削減法を利用し、動的ネットワークの状態を特定し解釈するための可視化解析システムのプロトタイプを実装した。本システムをこれまで適用を進めていなかった神経科学分野のデータ等に適用することで、システムの有用性を評価するとともに、神経科学分野での知見創出を目指した。前年度の目標の通り研究を進め、国際ワークショップでの口頭発表や国内学会誌への原稿執筆などを通じて成果の公表を進めている。これらの進捗を鑑みて、概ね順調に進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、R4年度までに構築した動的ネットワークの可視化分析システムのプロトタイプの改良を行う。そのために、Empirical Dynamic Modeling(EDM)の研究を主導してきた米国の研究者と議論することで、機能要件の再定義や解析をサポートする新たな機能開発に引き続き取り組む。また、R4年度に実施した神経科学分野のデータ適用の結果をまとめて成果公表の準備を進める。以上を踏まえて、動的ネットワーク解析と可視化の新たな方法論を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
R4年度に解析手法の研究を主導してきた米国の研究者との打ち合わせのための出張旅費等を計上していたが、コロナ禍のため出張などの予定がR5年度に変更となったため、一部を繰越し、最終年度の可視化システムのプロトタイプ改良や打ち合わせのための経費に充てることとする。
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