研究課題/領域番号 |
19K20281
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
南畑 淳史 中央大学, 理工学部, 助教 (70754787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精度保証付き数値計算 / 悪条件 / 連立一次方程式 / 最小二乗法 / 疎行列 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績は国内での講演2件、国内での招待講演1件、2019年度の講演に関する受賞2件、査読無し論文の1件であった。2020年度はコロナのため、国際会議が中止となったために国内中心の活動であった。 2020年度は昨年度に開発した疎な連立一次方程式の精度保証付き数値計算法を改善した。左前処理の場合にfill-inが発生し、密行列となっていた問題を特定し、fill-inを回避する方法を提案し、改善した。また、開発した手法の性能を評価するために大量の悪条件なテスト行列が必要となる。しかし、従来の密な悪条件行列の作成法では疎行列を作成できないため、SuiteSparse Matrix Collectionと呼ばれる実アプリケーションから生じる行列のみでしか性能を評価できなかった。そのため、特定のスパースパターンを持つ悪条件問題の作成法を開発し、様々なスパースパターンで性能を評価できる環境が整った。この成果は査読無し論文である教育総合研究叢書にまとめて報告した。また、これらの結果は招待講演であった計算力学シンポジウムで発表した。 また、2019年度の日本応用数理学会で発表した「非対称疎行列を係数とする連立一次方程式に対する精度保証付き数値計算の数値的比較」にて、日本応用数理学会 2019年度若手優秀講演賞を受賞した。また、2019年度のJSST 2019にて発表した「Verification method for sparse least squares problems」にて、JSST 2019 Outstanding Presentation Awardを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画よりも理論的な解析が遅れているが、応用研究で予想以上の進展があった。特に、疎行列に関連する研究に進展があったために、当初の計画よりも研究対象の幅が広がった。
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今後の研究の推進方策 |
応用研究で予想以上の進展があったために、応用面での研究を推進するとともにそこで得られた知見を用いて理論的な解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はオンラインでの開催となったため旅費が必要ではなかった。そのため、旅費に計上していた金額が余っている。2019年度の報告にて"2020年度はコロナの状況次第では旅費が必要ない可能性もある。使用が難しい場合は再度、繰り越しを行い、2021年度にPCを購入する費用とする。"と計画しているので、その通りに実行する。
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