研究課題/領域番号 |
19K20293
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
遠藤 優 金沢大学, 機械工学系, 助教 (50803293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホログラフィ / 画像処理 |
研究実績の概要 |
本研究では,ホログラフィを用いた計測技術(DH: digital holography)における画像処理を最適化問題として統一的に扱う手法を提案し,スケーラブルかつ高性能なホログラム画像処理フレームワークを構築することを目的としている.この目的のために,(1) 最適化ソルバーの開発,(2) 先験情報の構築,(3) DHシステムへの応用に取り組んでいる.本年度は,(1) 最適化ソルバーの開発,(3) DHシステムへの応用に関して,下記の通り実施した. (1) 最適化ソルバーの開発: DHシステムにおける画像処理を最適化問題として統一的に扱える最適化ソルバーの開発に取り組んだ.最適化ソルバーでは近接分離に基づく最適化手法をアルゴリズムとして使用した.この最適化手法は計測モデルに対応する演算と先験情報に対応した近接写像から構成される.DHシステムで使用される基本的な計測モデル(フレネル回折など)の実装と,基本的な先験情報であるL1ノルムと全変動の実装に取り組んだ.これらの計算を高速に行うために,GPUを用いた並列計算を実装した. (3) DHシステムへの応用: 開発中の画像処理フレームワークを単一画素ホログラフィックイメージングに適用した.単一画素ホログラフィックイメージングシステムでは,フォトディテクタで取得した時系列データから計測対象の画像を再構成する.このようなDHシステムを開発し,その画像処理を開発中のフレームワークで設計することで,フレームワークの有効性を一部実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 最適化ソルバーの開発は順調に進んでおり,次年度には性能評価を実施できると想定している. 当初予定では,本年度に (2) 先験情報の構築を行い,次年度に (3) DHシステムへの応用に取り組む予定であった.しかし,本年度に (3) の進展があったため,その実施を優先し,(2) は次年度に行うこととした.実施順に変更があったが,全体としてはおおむね予定どおりの成果を得られている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,(1) 最適化ソルバーの開発を引き続き行い,その性能評価を実施する.また (2) 先験情報の構築に関しては,機械学習を用いたノイズ除去器の実装を行い,最適化ソルバーへ統合する.(3) DHシステムへの応用に関しては,レンズレス顕微鏡や高速3次元計測システムへ本フレームワークを適用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が想定よりも少なかったため,全体的に見て予算が少しだけ余った. 前年度の残額は,次年度の物品費もしくは旅費で使用する予定である.
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