ホログラフィと画像処理を組み合わせた計測技術であるデジタルホログラフィ (DH) では,光学系に応じて画像処理システムを設計する必要があり,高性能な画像処理システムの開発に要するコストが増大している.本研究では,DHにおける画像処理を最適化問題として統一的に扱うことで,スケーラブルかつ高性能なホログラム画像処理フレームワークの構築に取り組んだ. DHシステムにおける画像再構成は,光学系の計測モデルを用いた逆問題として表すことができる.この逆問題の解は,計測対象の先験情報を用いた最適化(最大事後確率推定)により高精度に求めることができる.DHシステムにおける画像処理をこのような最適化の枠組みで行うために,DHシステムで使用される基本的な計測モデル(フレネル回折など)と,近接分離に基づく反復最適化アルゴリズムを実装し,それらを使用できるフレームワークを開発した. 開発したフレームワークにおいて高精度な画像再構成を行うためには,精緻な先験情報の構築が必要となる.そこで,機械学習を用いた先験情報の構築に取り組んだ.フレームワークにおいて,先験情報はそれと対応した近接写像として用いられる.そのため,近接写像をニューラルネットワークとしてモデル化し,データセットを用いて学習することで,高精度な画像再構成を可能とする先験情報を構築した. このようにして開発した画像処理フレームワークをインラインDHや単一画素ホログラフィックイメージングなどに適用し,その有効性を実証した.
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