研究課題/領域番号 |
19K20305
|
研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小木曽 里樹 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (10821738)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 屋内測位 / 音響測位 / マイクロホンアレイ / ベイズ推定 / 音響信号処理 |
研究実績の概要 |
屋内のどこにいるかを計測する屋内測位は,屋内のナビゲーションや工場内の作業定量化などに資する重要な基盤技術である.屋内測位の本質的な難しさは次の点にある.(a)屋内では測位用信号が壁面等で反射を繰り返して複雑に伝搬し,時には(b)壁面や人で伝播経路が遮蔽される.さらに,機材を時刻同期せずに高精度の音響測位を行う場合には,(c)受信端末に複数のマイクロフォンを用いる必要がある.一般的なスマートフォンのようにマイクロフォンがごく少素子しかない場合には,音の到来方向を一意に定めることができず,測位が不可能である.本研究では,以上に述べた3つの課題はすべて音源方向を一意に定めることが原因であるとの仮説に基づき,一意な音源方向検出を不要として統一的に課題を解決する測位法の確立を目的としている. 2019年度は提案法のコア技術である,マイクロフォン素子間の相互相関関数を位置の尤度とする測位法についてその原理を示した.この過程では,静的な測位の評価と,平面を移動する移動ロボットを対象とした測位評価実験を行った.いずれも反射が顕著に現れる屋内で実験を行い,(a)反射等による影響がある場合でも,提案法によってその影響を低減できること,(b)十分な音源数がある場合,音源が障害物で遮蔽される場合でも測位精度が大きく変化しないことを示した.また,(c)2素子という最小構成のマイクロフォンアレイを用いて,時刻同期が不要な測位が可能であることを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,マイクロフォン素子間の相互相関関数を位置の尤度とする測位法について実験により評価し,反射・遮蔽・少素子のマイクという課題いずれにも効果があることを確認したため.
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度以降は歩行者ナビゲーションへの応用を視野に,スマートフォン等の市販デバイスを用いる測位へと発展させ,歩行時の測位を試みる.この過程では,屋内における歩行程度のドップラシフトや人体による動的な信号遮蔽状況の変化が問題と考えられる.これらについて実験を繰り返し,ロバスト音響測位の実現へ向け取り組む.
|