研究課題/領域番号 |
19K20311
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
池田 純起 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (30754353)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 安静時脳活動 / 認知機能 / 精神状態 |
研究実績の概要 |
日常生活における人間の行動をモニタリングする研究は数多く存在するが、モニタリングの結果としてどのような生理機能の変化(認知機能や精神状態)が人間に生じているかを特定することは困難であった。本研究では、日常生活における人間の行動を歩行、安静、認知作業の三つに大別し、それらの行動データをウェアラブル装置で計測することで、人間の生理機能の変化を推定することを目標としていた。 当初の計画では、歩行、安静、認知作業の三つの行動データを取得する予定であったが、昨今の研究で安静時に計測される脳活動(安静時脳活動)に人間の認知機能や精神状態が強く反映されていることが明らかになりつつあり、他の行動データと比較して安静時脳活動が本研究の目標を実現する上で有力であると考えた。また、これまでの研究で安静時脳活動は全脳にわたって特徴的な時空間パターンを有することが示唆されている。本研究で利用する予定であったウェアラブル計測装置は前頭葉のみを計測対象としており、ウェアラブル計測装置の利用について今後検討していくためにも、まずは全脳の脳活動データを計測することが可能な機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて基礎的なデータを収集することにした。 上記の理由から、本研究では、fMRI で計測される安静時脳活動に着目し、安静時脳活動から認知機能や精神状態を推定する手法の確立、および、安静時脳活動の実生活における利用法の検討の二つを目的としてこれまで研究を行っている。 目的1)時間と空間の両方を考慮した安静時脳活動の特徴抽出法の確立、および、その特徴抽出法の有効性に関する検討を行っている。 目的2)実生活における安静時脳活動の利用法について検討するため、安静時脳活動を用いた人間関係の評価法の確立、および、瞑想が認知機能や精神状態に与える効果を安静時脳活動から評価する方法の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した当初の計画から変更は生じたものの、変更後の計画である時間・空間が考慮された安静時脳活動の特徴抽出法の確立、および、安静時脳活動の実生活での利用法の検討について上記で記したようにおおむね順調に進んでいる。これらの研究成果はすでに国内および国際学会にて発表済みであり、国際ジャーナルへ投稿するため現在論文化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
上記で記した目的1については、時間・空間の両方を考慮した特徴抽出法はすでに確立し、現在は従来利用されていた特徴抽出法との比較を行うことで、その有効性を検証しているところである。この作業については、次年度で完了する予定である。目的2の人間関係の評価研究については現在論文化を行っている最中であり、次年度中に論文を出版する予定である。瞑想研究についても次年度中に論文化を完了させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更に伴い、今年度購入を予定していたウェアラブル計測装置については購入するかどうか検討中である。また、研究成果の論文化に向けて、次年度に論文校閲費用、論文投稿費用が必要である。さらに、安静時脳活動の特徴抽出法の有効性について検討するため、当初購入を予定していた PC よりもさらに高性能な PC を購入する予定である。
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