メガネ型ウェアラブルディスプレイを用いた気管支鏡検査の有用性、安全性について検討を行う目的で今年度は昨年度に引き続き、電子カルテの医療画像、X線透視画像、生体監視モニター、内視鏡画像などの情報を外部デバイスから術者が装着したメガネ型端末に写し出すシステムの構築を行った。結果的に複数のコンバータを用いて画像信号を変換し、HDMIマルチビューワーを介して複数のスマートグラスへの表示、参照が可能となった。次いで気管支鏡練習用の臓器モデルを使って仮想気管支鏡ナビゲーション支援下の気管支鏡シミュレーションを行った。ナビゲーション画像は当院で撮影されたCT20症例をもとに作成されており、倫理委員会の承認を得た上で利用した。4名の術者がグラスあり、なしで各々5症例ずつのシミュレーションを行い、検査時間、目的病変への到達性、鉗子の視認性について両群で比較をした。両群とも全例で目的とする気管支へ到達が可能であった。検査時間はややスマートグラス群で長い傾向があった。鉗子開閉が見づらいケースがグラス群で2例あった。術者へのアンケートでは装着の快適さ・苦痛について概ね高評価であった。結果は学会発表される予定である。ここまでの結果から、スマートグラスやヘッドマウントディスプレイを装着して視覚情報を参照し気管支鏡検査を支援することは有用である可能性が示唆された。臨床現場での活用のためには、デバイスの軽量化、ワイヤレス化、視認性の向上などの課題があると感じられた。
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