研究課題/領域番号 |
19K20320
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
石川 由羽 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (20814370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | BMI / 誘発脳波 / ディープクラスタリング |
研究実績の概要 |
本研究では,脳波を利用して,機器の操作や幾つかの脳内意思の解読等を行うBMI技術の開発を行っている.BMIでは,主に誘発脳波と呼ばれる刺激時やイメージ時に一時的に発生する脳波を使用する.多種多様な操作・解読を行うためには,未だ発見されていない誘発脳波の検出・抽出が必要となる. 計測脳波は,刺激時やイメージ時に一時的に発生する誘発脳波,α波などの常に発生している自発脳波,心拍などの生体ノイズを含むノイズからなると考えられる.本研究では,ディープクラスタリングの実装,音声分離の追試実験を行い,動作確認と脳波へ適用する際の幾つかの問題点を明らかにし,それら問題点の解決を目指している.ディープクラスタリングは,本来,学習データとして各話者の音声データと混合データが必要となる.そのため,脳波へ適用するには,計測脳波からノイズ,自発脳波,誘発脳波の正確な抽出が必要となる.脳波分離のため,音声分離分野で研究が進められているディープクラスタリング手法を本分野に適用する.昨年度に続き,計測脳波を,誘発脳波とその他に分けてデータを生成し,ディープクラスタリングによる分離が可能であるかに焦点を当てる.データの生成には,従来の加算平均法等を使用する.昨年度は,誘発脳波としてもっとも計測が容易であるとされているP300の脳波の分離を試みたが,現在は,P300計測時の脳波に限らず,様々な条件下での誘発脳波を用いたディープクラスタリングへの適用方法を研究中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ディープクラスタリングでは,学習データとして各話者の音声データと混合データが必要となる.そのため,脳波P300の分離に適用する学習データとして,刺激時やイメージ時に一時的に発生する誘発脳波,α波などの常に発生している自発脳波,心拍などの生体ノイズを含むノイズ,それぞれ単体のデータの生成に取り組んだ.従来の加算平均等による誘発脳波の抽出手法を用いて,学習脳波を生成し,誘発脳波の抽出を試みたが,抽出精度は十分なものではなかった.そこで,現在はP300に固執することなく,すでに他の手法で分離が可能だと発表されている手足の運動時や動画視聴時の計測脳波等,様々な条件下での誘発脳波を用いて,ディープクラスタリングによる分離の可能性を検討している. また,本年度は6月まで産休・育休を取得しており,その期間は研究を休止していた.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,学習データの生成精度の向上と,ディープクラスタリングの最適な構造の研究が,今後の最重要課題である.P300のデータのみを使って脳波分離を可能にするための研究を行っていたが,ノイズが多量に含まれる等の理由により,自前によるP300の生成が困難であるため,その他の誘発脳波での分離にも取り組んでいる.いずれかの誘発脳波を用いた分離が可能となれば,他の誘発脳波を同時に学習させることで,汎用性の高いディープクラスタリングが完成する.また,現在は使用電極が1つであるが,複数電極を使用することでの精度向上も確認すべきである.さらに,現在の対象人数は1人であるが,複数人の脳波データを学習することで,音声同様に未学習者に対しても分離可能になるかの確認が必要である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は6月まで産休・育休を取得しており、その期間は研究を休止していた.そのため、研究期間を1年間延長し、今年度の遂行予定であった研究計画・予算計画ともに来年度以降に実施する.
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