研究課題/領域番号 |
19K20324
|
研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
伊東 嗣功 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (30757282)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 注意散漫状態 / 意識の脇見 / 脳血流計測 / 持続的注意課題 / 視覚閾下刺激 |
研究実績の概要 |
注意力散漫な状態で運転する漫然運転は人的事故要因の約半数を占めており,注意散漫状態を正確かつ高速に検出することは交通事故の防止やQOLの向上につながる.また近年では注意散漫状態下における注意喚起システムについても研究されており,注意喚起方法によっては交感神経に影響を与え心拍数が増加すると報告がある.そこで本研究では,脳血流と眼球運動の時系列データを用いた注意散漫状態の早期検出システムを開発し,覚醒状態から注意散漫状態に至るまでの時系列データを明らかにする.さらに視覚閾下刺激を用いた無意識下の注意喚起システム開発までを目的としている. 令和元年度は時系列データ解析に用いる4 ch 脳血流計測システムと眼球運動計測システムを開発し,同時計測のためのソフトウェア統合を進めた.この計測システムは酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの計測を可能にする.眼球運動から覚醒度とわき見を計測するための基礎部分が完成したとえいる.令和元年度中に視覚閾下刺激の刺激提示方法,刺激提示時間,刺激提示画像等についても検討した.刺激時間,刺激提示画像等のパラメーターと注意喚起効果を評価するため,脳血流計測システムと視覚閾下刺激システムを開発し統合した.視覚閾下刺激の有無は実験参加者が認識できないように計測開始時にプログラム上でランダムに選択される.最終的な出力ファイルに視覚閾下刺激の有無,課題正答率,課題への反応速度,脳血流値が保存される.予備実験として実験参加者1名を対象とし,視覚閾下刺激の有無が持続的注意課題の正答率に与える影響を評価した.実験参加者の数は少ないものの,視覚閾下刺激が与えられた場合において正答率が数%~10%程度上昇する傾向を確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は時系列データ解析に用いる4 ch 脳血流計測システムと眼球運動計測システムを開発し,計測ソフトウェアの統合を進めた.さらに視覚閾下刺激の刺激提示方法,刺激提示時間,刺激提示画像等についても検討した.視覚閾下刺激方法の検討は令和2年度~令和3年度の研究計画であったが,刺激パラメーターを詳細に検討するため令和元年度中に視覚閾下刺激システムを開発して予備実験を行った.以上の研究成果を学術会議で発表しており,これらの点から研究計画は概ね順調に進展していると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は脳血流計測システムと眼球運動計測システムを用いて,持続的注意課題中の開瞼度,視線,酸素化ヘモグロビン等のデータを自己組織化マップに入力し,持続的注意課題に成功/失敗した際の時系列データをベイジアンネットワークにて解析する.また,視覚閾下刺激の刺激時間,刺激提示画像等のパラメーターの検討を行い,持続的注意課題の正答率に与える影響を評価する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由)2019年12月~2020年3月にかけて購入予定だった計測用の電子部品,デバイスが在庫切れのため入手できず,次年度に入手でき次第計測デバイスを組み上げるように変更した. (使用計画)以上の理由により当初の見込み額と執行額は異なったが研究計画に変更はない.在庫ができ次第,計画通りに進めていく.
|