研究課題/領域番号 |
19K20325
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
ヤェム ヴィボル 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (20808258)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | VRグローブ / 触感再現 / 電気刺激 / 疑似力覚 / 振動 / 指先 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,機械刺激の振動で生じる疑似力覚と電気刺激の併用で,指先にあらゆる触感を再現できるVR(バチャールリアリティ)グローブの開発である.本研究は,基本的に各刺激の感覚特性とそれぞれの併用の感覚特性を明らかにするのである.このため,次の3つ項目で研究を行った. 一つ目は多指に粘着感を提示するための,指先における腱電気刺激手法である.粘着感の再現手法として,これまでの本研究では,電極の配置と電気極のサイズを調査し,指先の皮膚感覚と指の屈筋腱を同時に刺激可能な手法を提案した.これに基づいて本研究は,拇指,示指,および中指の多指の屈筋腱を同時に刺激する方法を見出した. 二つ目は,なぞり感覚を再現するための,振動と皮膚剪断力を与える触覚ディスプレイの開発である.指腹の接触子は,円筒形とし,素材の摩擦感覚に関するスティックスリップ振動を連続に提示できる.このディスプレイを使った調査実験の結果,ヒトが滑りにくいと感じる素材ほど,指腹に提示される剪断力は大きく,加えた振動周波数は小さく選択されたことが分かった.ヒトの摩擦感覚の強度は,剪断力と比例だったが,力センサで測定した素材の摩擦係数との関係が比例ではなく個人によってその関係が変わる.また,力センサとこの触覚ディスプレイを使って,リアルタイムでなぞり感覚の伝送システムを試作した. 三つ目は,電気刺激の閾値を安定するために電極の設計を行っていることである.電気刺激を使うことで,装置を小型化しやすくなるが,刺激閾値の不安定という課題はまだ大きく残っている.本研究の調査によって,刺激の電極の周りにグラウンド電極を配置すれば,ある程度安定のように見えたが,効果がまだ低いため,より調査必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は,あらゆる触感を再現するために,摩擦や粗さなどのヒトの触感の空間に対して,機械刺激,電気刺激そしてこれらの刺激の併用の特性を調査するのである.しかしながら,多くの調査項目に対して,望ましい結果は機械刺激と摩擦感覚の関係のみであった.理由は,電気刺激の安定化の実験において,予想外の結果が生じ実験を何回も繰り返し行ったため,時間をとられた.
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今後の研究の推進方策 |
次の3つ項目で研究を行う予定である. 一つ目は,電気刺激の安定化を引き続き調査するのである.これは,本研究の主な課題ではないが,電気刺激の実用化のためこの課題を解決する必要がある. 二つ目は,電気刺激と機械刺激の併用のため,各刺激がどのような影響を互いに影響を及ぼすか調査である. 三つ目は,素材測定センサの開発である.これまでに素材摩擦を測定するために力センサを使ったが,素材に対する人との感覚の分析において力センサのデータのみ不十分のため,なぞりの振動や音も計測する.
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