本研究では,VR(バーチャルリアリティー)やテレオペレーションのための,機械刺激と電気刺激を併用した,触感再現のグローブの開発を目的としている.基本的に指先における触覚電気刺激と機械刺激の感覚特性とそれぞれの併用の感覚特性を明らかにし,あらゆる触覚再現のアルゴリズムを探求する.2022年度は,2021年度の継続で次の2つ項目の研究を行った.また,今後触感再現のグローブを開発するため,卓上フライス盤の備品を購入した. 1) 皮膚インピーダンスの推定による電気刺激の感覚閾値の推定: 触覚電気刺激は生起される感覚の強さにばらつきが大きく,実用化の妨げとなっている.そこで本研究では,個人の皮膚インピーダンスにより刺激電流閾値を推定する手法を提案し検証を行った.実験の結果,知覚可能な刺激電流を与える前の,知覚を生じない低電流を印加した際の抵抗とキャパシタンスの値を測定することで,これらの値を入力パラメータとしたRandom Forestの機械学習回帰で刺激電流閾値の近傍を推定可能であることが分かった.また,機械学習の推定モデルを構築し,そのモデルの有効性を確認した. 2)指先における機械振動刺激と電気刺激の相互作用: 昨年度の実験における,電電気刺激と機械刺激の強度をほぼ同じ強度で与えることに対して,電気刺激の強度を十分に強く感じる感覚を与えるようにした.結果は変わらず,機械刺激が電気刺激の感覚をマスキングできなかった.結論として,機械刺激は物体の接触面積や形状の感覚に影響を及ぼさないことが分かった.
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