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2020 年度 実績報告書

統計学習と進化理論に基づく音楽創作の学習・進化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K20340
研究機関京都大学

研究代表者

中村 栄太  京都大学, 白眉センター, 特定助教 (10707574)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード進化的統計学習理論 / 統計学習生成系 / 創作者と評価者の進化モデル / 文化進化 / 進化理論 / 音楽知能情報 / 音楽創作モデル / 共役分布則
研究実績の概要

当初の計画通り、2020年度は統計学習生成系の動的過程の詳しい解析および実データとの照合に基づく検証を行った。まず実データの解析では、西洋クラシック音楽、日本と米国のポピュラー音楽、アイリッシュ音楽などのデータを用いた解析を行った。創作物の内容特徴量の類似度に基づくクラスタリングに基づく解析では、多くの場合に、各クラスターの頻度変化曲線が共通した形を持つこと、クラスターの時間遷移が断絶平衡の構造を持つこと、クラスター内の特徴量変化の大きさはクラスター間の距離に比べ小さいこと、そしてこれにより音楽創作物の特徴量の時間変化を予測するにはクラスター構造を組み入れたモデルがより適していることを示した。また各創作物内の音楽要素の頻度のデータセット内での分布は、多くの場合ベータ分布に従い、その時間変化はベータ分布を保つ形の適応度関数により近似されることを示した。各創作物中のその他の統計量のデータセット内での分布では、近似的にガンマ分布に従うものが見つかり、より一般的に創作物内の特徴量分布とそのデータセット内での分布が共役関係にあるという一般の統計則が示唆されることを示した。理論的には、統計モデルによる創作物の生成と統計学習による創作物特徴量の世代間伝達モデルを考えることにより、斜行伝達(親世代の平均的な特徴の伝達)がある場合に、この共役分布則が理論的に導かれることを示した。これは知能情報に関する文化進化を定量的に調べる上で、パラメトリックなモデルを選択する原理の一つとして用いることができるため、今後の研究に広く役立つ知見だと言える。この他、音楽データの定量分析のためのデータ処理法として重要である、音声データから楽譜情報を推定・抽出する自動採譜技術において、現段階で世界最高性能のピアノ採譜手法の開発に成功するなど、多くの成果があった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Non-Local Musical Statistics as Guides for Audio-to-Score Piano Transcription2021

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Shibata, Eita Nakamura, Kazuyoshi Yoshii
    • 雑誌名

      Information Sciences

      巻: 566 ページ: 262-280

    • DOI

      10.1016/j.ins.2021.03.014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Audio-to-Score Singing Transcription Based on a CRNN-HSMM Hybrid Model2021

    • 著者名/発表者名
      Ryo Nishikimi, Eita Nakamura, Masataka Goto, Kazuyoshi Yoshii
    • 雑誌名

      APSIPA Transactions on Signal and Information Processing

      巻: 10(e7) ページ: 1-13

    • DOI

      10.1017/ATSIP.2021.4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bayesian Singing Transcription Based on a Hierarchical Generative Model of Keys, Musical Notes, and F0 Trajectories2020

    • 著者名/発表者名
      Ryo Nishikimi, Eita Nakamura, Masataka Goto, Katsutoshi Itoyama, Kazuyoshi Yoshii
    • 雑誌名

      IEEE/ACM Transactions on Audio, Speech and Language Processing

      巻: 28 ページ: 1678-1691

    • DOI

      10.1109/TASLP.2020.2996095

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bayesian Melody Harmonization Based on a Tree-Structured Generative Model of Chord Sequences and Melodies2020

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Tsushima, Eita Nakamura, Kazuyoshi Yoshii
    • 雑誌名

      IEEE/ACM Transactions on Audio, Speech and Language Processing

      巻: 28 ページ: 1644-1655

    • DOI

      10.1109/TASLP.2020.2996088

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 同質性・反復性・規則性を考慮した階層隠れセミマルコフモデルに基づく統計的音楽構造解析2020

    • 著者名/発表者名
      柴田剛, 錦見亮, 中村栄太, 吉井和佳
    • 雑誌名

      情報処理学会論文誌

      巻: 61(4) ページ: 757-767

    • DOI

      10.20729/00204224

    • 査読あり
  • [学会発表] Statistical Correction of Transcribed Melody Notes Based on Probabilistic Integration of a Music Language Model and a Transcription Error Model2021

    • 著者名/発表者名
      Yuki Hiramatsu, Go Shibata, Ryo Nishikimi, Eita Nakamura, Kazuyoshi Yoshii
    • 学会等名
      46th IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing
    • 国際学会
  • [備考] 研究代表者ホームページ

    • URL

      https://eita-nakamura.github.io/index-ja.html

  • [備考] 音響から楽譜へのピアノ採譜

    • URL

      https://audio2score.github.io/index-ja.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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