研究課題/領域番号 |
19K20346
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
宮川 みなみ 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (40793964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多目的最適化 / 進化計算 / 制約付き最適化 / 制約許容量 |
研究実績の概要 |
制約条件を有する多目的最適化問題の進化計算による解法において、制約条件に対する解の評価指標として新たに制約許容量を導入することで、最適化の効率化や新たな最適化のアプローチ方法の構築を目指している。これまで、制約条件に対する解の評価指標としては、制約条件をどれだけ超えているかを定量的に表す制約違反量が用いられてきた。制約条件を満たす場合、制約違反量はゼロとなり、どれくらい制約の境界から離れているかという情報は得られない。そこで制約条件までの余裕を新たに制約許容量として定量的に表し、制約違反量と制約許容量を用いて解をより精緻に評価できるようにする。これによって、制約条件を満たす制約充足解の高速な獲得方法や、制約充足領域の推定精度向上による有望な設計変数領域の推定と活用法、動的に制約条件が変化する制約付き最適化問題に対して最適化をやり直すことなくサステナブルに新しい制約条件に即時適応できる最適化法の実現を目指している。 2019年度は、制約充足解の高速な獲得のために、研究事項A: 制約許容量を活用した制約充足解の探索法に取り組んだ。これまでの研究において、制約充足解の目的関数をさらに高めるために、目的関数値の良好な制約違反解と交配させて新たな子個体(解)を生成することが有効であることを示してきた。しかし、制約違反解の情報を用いるため子個体も制約違反解になりやすい傾向があった。そこで、交配する解の制約許容量と違反量の値のバランスを考慮することによって、子個体が制約充足解になりやすい交配の組み合わせを見つけ出す方法を構築し、その有効性を確認した。研究の成果は、現在ジャーナル論文として発表するために準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多目的進化計算に制約許容量という新たな概念を導入したため、その性質の理解に予定よりも少し時間がかかった。特に、制約の厳しい問題において、制約違反解集団からいち早く制約充足解を見つけるための進化フェーズにおいて、制約許容量の活用の有効性が見えにくい点についてはもう少し発想の転換が必要であり、課題が残っている。しかし、今年度の研究事項は本研究の核となる重要な部分であるため時間をかける価値があった。また、制約許容量の導入が有益であることは明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究事項における提案法の挙動や有効性についてより多くの視点から詳細に明らかにしてまとめる。その後、制約許容量のさらなる活用法について提案し有効性を明らかにしていくために、申請時に計画しているその他の研究事項について取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度中に取り掛かる予定であった研究事項の開始がずれ込んでいるため、購入予定だった機器の購入を次年度に持ち越し、次年度使用額はこれに充てる。また、学会参加費が予定より少なくなったことも影響している。
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