本研究ではネットワーク状の媒質において反応物質が拡散する場合に,物質が媒質の一部分に局在する現象を扱い,局在構造の形成原理の解明を試みた.主に理論解析と数値実験を通して解析を行なった.得られた主な成果は次の通りである. (1)物質の濃度が一様な(つまり局在構造が存在しない)状態において,一定の条件が満たされると一様状態が不安定になり,自発的に局在構造が形成されることを見出し,この条件を解析的に導出した.(2)一定の条件が満たされると形成された局在構造が媒質上を伝播することを数値実験により見出し,その統計的な性質を明らかにした.
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