研究課題/領域番号 |
19K20358
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
増山 直輝 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00815607)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 進化型多目的最適化 / クラスタリング |
研究実績の概要 |
本研究課題は,理論的側面から進化型多目的最適化手法を再考し,(A)成長型トポロジカルクラスタリング手法によるパレートフロント形状の近似情報をもとに,効果的な遺伝的操作を実現する新しい手法の考案,および(B)工学的応用を視野に実世界の問題への適用を行い,提案手法の有効性の確認や拡張性を調査することを目的としている. 令和1年度は,(A)に関連する研究として,(1)パレートフロントの形状近似に成長型ニューラルガス (Growing Neural Gas: GNG)を適用した新しい進化型多目的最適化手法の提案,および(2)成長型トポロジカルクラスタリング手法の進化計算への適用可能性の検討を行った.(1)に関して,MOEA/Dにおける参照ベクトルの位置を動的に変更するために,現個体群に対してGNGを適用し,抽出された代表点にたいして参照ベクトルを配置するアルゴリズムの提案を行った.本研究成果は,進化計算分野のトップジャーナルであるIEEE Transactions on Evolutionary Computationに採録されている.(2)に関して,遺伝的操作における成長型トポロジカルクラスタリング手法の有効性および発展可能性の調査・検討のために,ファジィ遺伝的機械学習手法に対してGNGを適用し,ファジィ遺伝的機械学習手法の機能的拡張を行った.本研究成果は,日本知能情報ファジィ学会誌に採録されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画では,令和1年度および2年度における活動として,(A)成長型トポロジカルクラスタリング手法によるパレートフロント形状の近似情報をもとに,効果的な遺伝的操作を実現する新しい手法の考案を挙げている. 令和1年度は,成長型トポロジカルクラスタリング手法を適用した進化型多目的最適化手法の提案を行い,今後の研究とベースとなる基本アルゴリズムの確立を行った.さらに,遺伝的操作における成長型トポロジカルクラスタリング手法の有効性および発展可能性の調査・検討を通して,GNGをベースとする手法の利点と欠点の確認を行ったことで,次年度における研究の方向性が明確である.したがって,順調に研究が進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
令和1年度において確認されたGNGをベースとする手法の利点と欠点は,主にGNGに起因する事象であると考えられる.また,提案手法の特性や性能などは,限られた数の人工テスト問題によって評価されており,実世界の問題に対して十分に対応することが困難である可能性がある.そこで令和2年度では,提案手法の特性のさらなる調査と性能向上を研究の主目的とし,GNGとは異なる成長型トポロジカルクラスタリング手法の適用や,実応用の観点から有用と思われるテスト問題を用いた手法の評価などに取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:2020年度に当初の予定より多くの学会参加が見込まれたため.また謝金に関して,想定よりも事務作業が発生しなかったため. 次年度使用額の使用計画:学会参加および事務作業などの雇用に対する謝金に利用する予定である.
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