コミュニケーションロボットや介護ロボットといった,人と密接に関わるロボットにおいてはその容姿が重要になる.一方で,「ゆるキャラ」に代表されるマスコットキャラクターは広く万人に愛される存在として利用されている.こうしたマスコットキャラクターに見られるデザイン上の特徴は分析されているが,そのデザインは従来のロボット設計手法では実現困難なデザインである場合が多い.そこで本研究では申請者がこれまで開発した,3Dプリンタを活用した自由な形状のロボット設計を実現するロボット構築法を基盤として,従来手法では困難であったマスコットキャラクター的デザインの「人に愛される」ロボットの構築手法の実現を目指す. まず,デザイン性の高い形状に対応するための強度の自動調整機能の追加を行った.マスコットキャラクター的性質を具現化するにはその外形のデザインが重要となる.しかしデザイン性の高い形状の場合,強度面からロボット設計に適さないことがある.申請者らがこれまでに構築した手法では,内部構造を支える基本となる単位構造の大きさ,密度を変更することにより,その強度を部分的に任意の領域のみ変更することができる.これを利用し,従来の設計法では実現が困難なデザインにおいても強度を確保し,デザインを優先したロボット設計を可能とした. 次に,ロボットのモジュール配置時の最適化指標を自由に追加可能とした.これにより,消費電力や重量バランスなどの新たな指標を追加した適応度関数を用意できるようになった. 最後に,ロボットのモジュール配置を行う進化計算部分において,モジュール数が増えるに従って計算量が膨大になる問題を解決するための新たな進化計算の枠組みに関する理論構築を行った.こうした理論をもとに,今後最適化計算を高速化する実装を行う予定である.
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