研究課題/領域番号 |
19K20369
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒瀬 優介 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (20832512)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機械学習 / ロボティクス |
研究実績の概要 |
本研究では,大規模なデータセットを作成できないような環境においても高精度な物体把持を実現するために,ロボットの物体把持分野における大規模データセットによる学習を高効率化することを目的とする.これまでロボティクスの分野において軌道そのものを大規模データセットで扱うことは,正解の軌道を与えるプロセスのコストの高さから,申請者の知る限りあまり研究されていない.しかし,近年,深層学習と自己教師付き学習の枠組みが開発されたことによって, 大規模なデータセットの開発というものが可能になった. そこで,本研究では大規模データによるロボットの学習を高効率化させるための手法の開発を試みる. 本年度は手法の基礎的検討を継続して行なった.深層学習においては,大規模データセットの構築が前提であるため,データが少数の際には工夫が必要である。また,現実的には2値分類においてはデータセット中に大きな偏りが生じることが多い.例えば,医用画像においては対象とする疾患のある患者よりも無い患者のデータの方が圧倒的に多く,今回対象とするロボットの把持タスクにおいても学習前には成功より圧倒的に失敗の方が多いことは容易に想像できる.しかし,一般的に機械学習の手法はある程度データセット間の均衡が保たれていることが前提として開発されており,偏りのあるデータセットを利用した場合は精度が大きく下がることが知られている.そこで,本年度はそのような偏りがあるデータセットにおける精度の向上に取り組んだ.具体的には,オーバーサンプリングやデータ拡張によるクラス間インバランスの緩和,データセット特有の条件を利用した効率化手法の開発を行い,精度の向上を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は手法の開発をメインで行なっており,そちらについてはさまざまな手法を検討している.その進捗については多少の変更点はあるものの,検討してる手法は本研究のテーマに応用可能なものであり,進行に影響を及ぼすほどのものではないと考えているため,上記のような区分に設定した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,より実践的な手法の開発に取り組んでいきたい。具体的には,今年度行った手法に追加して,能動学習やドメイン適応手法などの別アプローチにも取り組み,より本テーマに適した手法の探索を進めていきたい.今後もコロナウィルスの影響もあり,キャンパスへの立ち入りが思うようにできないケースも考えられるため,シミュレーション環境による開発など臨機応変に対応していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,初年度に行うと予定していたデータセット構築を新型コロナウィルスの影響もあり次年度以降にし,先に手法の開発に取り組んでいるためである.また,国際学会への参加も難しく,このような変更が生じている.次年度以降は手法構築のための物品の購入等を計画している.
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