本研究では,ロボットの運動と身体構造を最適化計算に基づいて同時に生成する技術の開発に取り組んだ.まず,ロボットの可変身体構造をリンク長と関節軸の方向を変数としてパラメータ表現するロボットモデルを生成した.次に,初期に開発したロボットの時系列姿勢の生成技術を,運動パラメータと身体構造パラメータの両方を設計変数として適用することで,運動と身体構造の同時最適化を実現した.指定軌道にリーチングするマニピュレータの関節配置決定問題や複数マニピュレータからなる工場を模した環境におけるロボットのベース配置決定問題において,有効な結果が得られることを確認した.さらに,非線形最適化問題のスパース性を活用することで,計算速度を向上させた.また,ロボットのエンドエフェクタの可到達性を表すリーチャビリティマップを,ロボットモデルから順運動学計算でサンプリングされたエンドエフェクタ位置のデータセットから,学習ベースに表現する手法も確立した.このリーチャビリティマップは,従来のグリッド表現による離散的なリーチャビリティマップと異なり,タスク空間の位置姿勢に対して微分可能であるという特徴をもつ.この特徴を活かして,リーチャビリティマップが連続最適化計算に基づくヒューマノイドの多点接触運動生成に活用できることを示した.これらの研究成果の一部に基づいて現在査読中の国際学会論文を執筆した.さらに,ロボット身体構造の最適化技術は外部組織との共同研究における活用が検討されており,現在試験的な実装が完了し今後の拡張が見込まれる.以上のことから,本研究課題は研究計画に沿って実施され今後のさらなる拡張と実用化が期待される成果を実現したと考える.
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