研究課題/領域番号 |
19K20373
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
木村 航平 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (50839230)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボティクス / 制御 / 搭乗型機器 / 拡張型バランス安定化制御 / 移動形態の可変構成 / トランスフォーマブルロボット / ヒューマノイドロボット / 脚車輪ロボット |
研究実績の概要 |
本年度は,(i) 前年度に提案および開発をおこなった「シーソー・倒立振子モデルに基づくロボットの拡張型バランス安定化制御」の波及効果を高めるための行動実現,(ii) 人間を搭乗させて運ぶ用途で開発された変形可能な脚車輪ロボットを使用した移動性能の検証,(iii) プラスチック樹脂製の構造と分散型冗長センサを備えたヒューマノイド型-車両型で形態変化可能な小型ロボットプラットフォームにおける変形行動実現,の研究成果が得られた. 具体的には,(i)の成果として,外界に存在する不安定な搭乗対象物に対してロボットが乗り込みを行い,続いてロボットがその不安定な搭乗対象物を水平に安定化させる一連の行動制御の実現を実機検証により示した. (ii)の成果として,脚車輪ロボットの可変的な構成を活用して,平地では安定かつ効率の良い車輪移動,段差のある環境に直面した場合は二脚による段差乗り越えを達成する一連の移動タスクを検証した. (iii)の成果として,樹脂製の関節やリンク構造を有する小型ロボットのフレキシブルな身体性と分散型の冗長センサを活用して,転倒してもロバストに起き上がりが可能,かつヒューマノイドから車両にも変形できる行動実現法が得られた. 当該年度における以上の成果(i)~(iii)は,本研究課題である「不安定な搭乗型機器上でのヒューマノイドの拡張型バランス安定化と移動形態の可変構成」の基盤を固める意義のある研究成果となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の取り組みとして,(i)不安定な搭乗対象物にロボットが乗り込み,その後水平に安定化させるまでの一連のタスク制御や,(ii)車輪移動と段差乗り越えがハイブリッドに実現可能な脚車輪モビリティ,(iii)転倒状態から復帰可能であり,ヒューマノイドから車両に移動形態の相を切り替えられるトランスフォーマブルなロボットシステム,の構築を行った. 研究課題として設定しているテーマの要素である「不安定な搭乗型機器上での拡張型バランス安定化」および「移動形態の可変構成」をともに満たす研究遂行内容となっており,おおむね順調に進展が見られている. また,(i)~(iii)を通して,異なるロボットハードウェアや異種形態へと適用可能性を広げている. 研究成果(i)は査読付き原著論文として発表済みであり,前年度に発表した査読付き国内会議での関連する研究内容に対しては研究奨励賞を受賞している. 研究成果(ii)は査読付き国際会議において発表済み,研究成果(iii)は査読付き国際会議での発表として採択済みであり発表予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,本研究課題でこれまで築き上げてきた制御方策および移動形態の可変構成について,実環境で有益なタスク実現へと昇華させていくことを目標とする. 具体的には,ロボット身体の移動形態を変化させることの利点を活かした上で,狭隘空間への進入や内部での作業,段差のある環境に対しての踏破行動,異なるフロアへも行き来することができる巡回行動,等の多様性を高めた支援行動実現を目指す. 転倒しても衝撃を緩和でき,起き上がることでタスクの復帰および継続が可能な,小型かつ最小構成のトランスフォーマブルなロボットを研究推進のために活用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては,前年度に引き続きCOVID-19の影響によるオンライン開催での学会参加により旅費の支出が生じなかったことや,所属研究機関の異動に伴う学内の研究支援資金の獲得及び使用等の理由から次年度使用額が生じた. 次年度の使用計画として,COVID-19による情勢の変化に臨機応変に対応できるよう,研究機関・在宅環境・屋外環境等の多様なフィールドで利活用可能な小型かつトランスフォーマブルなロボット構成キット・予備パーツ等の購入に割り当てる予定である. また,次年度より研究室の主宰・運営が主な業務となることから,配属受け入れ学生に向けた教育用ロボットパーツ・ソフトウェア等の教材準備としての使用も計画している.
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