研究課題/領域番号 |
19K20376
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
長谷川 孔明 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30816210)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 相互主体性 / ヒューマンエージェントインタラクション / 三項関係 / ヒューマンロボットインタラクション |
研究実績の概要 |
本研究では、人とロボットの間でも〈相互主体的な関係〉を築くための手法を明らかにすることを目指す。特に、人とロボットが並んで歩くというシンプルな状況を設定し、そこで互いに主体を表出しあい、同時に相手の主体を理解して調整し合う関係の構築を目指す。 初年度である本年度は、「ロボットからの一方的な主体の表出を行う段階」として、人と並んで歩くロボットの振る舞いの構築を行い、実験システムを準備した。当初は並んで歩く際に手をつないだインタラクションのみを対象としていたが、並んで歩く際には視線のやりとりで歩調を調整することも人同士では一般的であるため、視線でのインタラクションに関しても考慮して研究をすすめることとした。そのため、人と手をつなぎながら並んで歩くロボット、少し離れたところから人と視線を交わし並んで歩くロボット、という人との関わり方が異なる2種類のロボットを用意した。実装した具体的な振る舞いとして、生き物らしく捉えられる歩き方や、主体性を持っているように捉えられる手の引っ張り方や顔の振り向き方などを実装し、基本的な動作の確認を行った。ロボットの各振る舞いをモジュール化するため、機能のモジュール化に適したROSプラットフォームを用いて実装を行った。これは、評価実験の際にモジュールごとの評価やモジュールの組み合わせでの評価を行うためである。 これらの成果の一部は、国際会議論文、国内会議論文として公開している。国際会議において、ポスター発表と同時に実機を用いたデモンストレーションを行い、振る舞いに関して同分野の研究者からの意見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人と並んで歩くロボットの振る舞いとして、生き物らしい歩き方や主体性を感じられる手の引っ張りなど、ロボットの主体性を感じさせるための基本的な動作の実装は計画通りすすめることができた。また、計画の当初は並んで歩く際の人とロボット間でのやりとりとして、手を引っ張り合うインタラクションのみを対象とする予定であった。それに加えて、並んで歩く際には視線を介したやりとりも主要なインタラクション手段であると考え、視線のやりとりに着目したロボットの振る舞いの構築も行った。 一方で、実験におけるロボットや人の行動計測のための機器の準備や、時系列データの分析手法などの調査に時間を要し、実験の実施に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度で準備したロボットの振る舞いを用い、主体性のある振る舞いが、人の行動に与える影響を検証するための実験を行う。また、当初の計画にある「相互適応の段階」として、人とロボットのやり取りを行った実験データをもとに、人の主体を認識し振る舞いを変更する相互適応のモデル化を行う。具体的には、ロボットとインタラクションを行った際の人の歩く速度や手の引っ張りのタイミングといったデータから、特徴的な振る舞いを認識するモジュールを構築し、人の行動に対して振る舞いを適応的に変化させていくような行動モデルの構築を行う。
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