2019年度では、筋骨格型の受動歩行ロボットのシミュレーションを構築した。まず、筋骨格構造を有するコンパス型二足歩行ロボットをモデル化した。そのモデルを対象に、筋肉の釣り合い内力を利用した歩行生成方法を提案し、シミュレーション結果よりその有効性を示した。提案手法では、筋肉の釣り合い内力から得られるトルクをすることで、傾斜角が小さい斜面でも歩行を継続できることを確認した。次に、膝関節を有する受動歩行ロボットをモデル化した。筋骨格構造にする場合、コンパス型に比べてリンクが増加するため、複数の筋肉の配置が考えられる。そのため、筋肉の配置と筋内力の付加方法の検討を行っている。また、実機を製作するため、コンパス型二足歩行ロボットのシミュレーション結果を用いて、定荷重ばねを筋肉とみなした筋骨格構造を有するロボットの試作機を開発した。 一方、運動特性を考慮した筋骨格構造の設計指針の確立については、当初研究環境が整っていなかったため実施を保留した。その代わりに、任意ベクトルの決め方も運動特性に影響を与えるため、任意ベクトルの決定法を提案した。提案手法の有効性をシミュレーションによって確認し、目標位置における手先剛性維持したまま、目標位置までの運動の応答性を変化させることができることを示した。さらに、実施を保留した代わりに、2020年度に実施する予定であった筋肉の配置を変更可能な筋骨格型ロボットの設計を行っている。
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