2020年度では,膝ありの筋骨格型受動歩行ロボットのモデルを新たに考案し,シミュレーションを構築した.まず,膝ありの筋骨格型受動歩行ロボットは二足歩行ロボットをベースに膝関節まわりに2本ずつの筋肉が配置されるようにモデル化した.そして,膝ありの筋骨格型受動歩行ロボットを対象とした筋肉のつり合い内力を利用する歩行生成法を提案し,シミュレーション結果よりその有効性を示した.提案手法では,筋肉のつり合い内力によって生じる関節トルクを遊脚の蹴り出し力に利用している.そうすることで一般的なリンクモデルでは歩行を継続できない初期条件でも,歩行を継続できることを示した.また,シミュレーションを用いて筋配置の検討を行い,膝関節まわりの筋配置と運動性能の関係性を確認した. 次に,重力の影響下で筋骨格型ロボットの位置制御を行うことができる新しい制御手法を提案した.その提案手法の有効性をシミュレーションと実験の結果より示した.提案手法は筋内力フィードフォワード位置制御法に重力補償項を組み合わせて構築する.筋内力フィードフォワード位置制御法のみでは,重力の影響を受けると運動の収束位置に誤差が生じてしまう.しかし,提案手法は目標位置に運動が収束しており,重力の影響下でも正確な制御を実現できることを示した. さらに,これらの研究成果を国内学会で発表しており,前年度の研究成果をロボット関連の英文ジャーナルに投稿中である.
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