研究実績の概要 |
本年度は昨年度開発した可達域データベースを用いた手先軌道計画手法を国際学会IROS2022で発表するとともに, 可達域データベースを拡張しオンラインで実行した動作計画結果をデータベースに反映することでデータベース内の経路探索を効率化する手法を開発した. 作業中の動作計画結果を用いてデータベース内の可達域グラフを構成する枝の重みを更新することにより動作計画に成功しやすい経路を優先的に探索することが可能となり, 作業を繰り返し行うにつれて動作計画に必要な時間を短縮できることを示した. 更に物体認識及び状態遷移に基づくタスク管理手法を動作計画手法と統合し, モバイルマニピュレータによるコンビニエンスストアでの商品陳列作業タスクに適用することで実世界での評価検証を行った. 遠隔指示により指定された把持対象物を機械学習手法を用いた物体認識により検出し, 指定の場所に陳列する動作を可達域グラフに基づく動作計画手法により計画するとともに, 作業手順を状態遷移に基づくタスク管理手法を用いることで物体検出に失敗した場合に自律的に作業を停止する・遠隔指示に基づくリカバリを行うといった動作を実現した. 研究期間を通して実施した研究成果として, 運動学的・力学的な制約を考慮したヒューマノイドロボットの全身動作計画手法を拡張した可達域データベースに基づく動作計画手法と機械学習を用いた環境認識手法及び自律的なエラー検出が可能な状態遷移に基づくタスク管理システムを統合することで, 商品陳列作業のような実世界における作業を遂行するロボットシステムを実現した. 目標としていた作業手順の自律的な生成までは到達できなかったものの, 環境認識・動作計画・作業手順を統合したシステムを開発し実世界での実証ができたと考えている.
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