研究課題/領域番号 |
19K20382
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤井 雅史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (30725750)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 声明システムの情報伝達 / シミュレーション / ネットワーク / 進化 |
研究実績の概要 |
細胞内での化学反応のネットワークでは、多種多様な細胞外の因子に対して応答するにも関わらず、内部で反応する分子は共通するものが多い。一方で、どのくらいの外部環境を実効的に判別できているのか、どのくらい最適化されているのかは不明である。本研究課題では、情報理論に基づく情報量解析を用いてこれらの問題を考察する。 2019年度は、シンプルなネットワーク構造を持つシステムの情報伝達について研究した。 単純なフィードフォワードシステムのネットワーク構造である、入力の情報がアナログ通信のように単純にノイズが付加される場合と、神経細胞での応答のように01に離散化される場合のシステムについて考察し、ノイズ付加による情報伝達の特性を調べた。その結果、システムノイズを極力小さくした1個のシステムに比べて、システムノイズが大きいもののサブシステムを多く含むシステムの方が、入力ノイズの増加に対する情報伝達の頑健性が高いことを数理構造の面から明らかにし、一定の条件下においては、これまでの先行研究で見出してきた情報伝達の頑健性のメカニズムを解明した(Tottori et al. Biophys. J. (2019), Tottori et al. Phys Rev. E (2019))。 一方、離散力学系を用いて、ネットワークの動的な構造変化と階層構造化に関する研究も進めており、神経細胞のように情報伝達によるネットワーク構造の増強効果を組み込んだモデル研究では、部分的に構造化したサブネットワークが組み合わさった大域的なネットワーク構造が観察された(小原ら、日本物理学会2019年秋季大会他)。 また、これらの研究成果がベースとなり、他の数値計算手法のブラッシュアップにもつながっており、成果が多分野に波及している(Fujii et al. npj Syst. Biol. Appl. (2019)、Kaneshige et al. PLoS One (2020)、藤井、日本物理学会2019年秋季大会他)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で1年目に予定していたシンプルなネットワークの情報伝達特性の解明については、最も単純なフィードフォワードシステムについての情報伝達特性にのみ成果が出たが、他のシステム(フィードバックシステムやインコヒーレントフィードフォワードループシステムなど)では未だに研究進行中である。一方で、所属の変更に伴い、3年目以降に着手予定であった情報伝達の特性とネットワークの進化に関する研究の足がかりが非常に早くできた。そのため、トータルとしては概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初では個別のネットワークシステムおよび少数サブシステムを組み合わせたネットワークシステムの情報伝達特性に関する研究と、ネットワークの進化による情報伝達特性の最適化に関する研究は、段階的に行うこととしていたが、後者の研究の足がかりが得られたことから、今後は並行して研究を行うこととする。また、得られた成果は随時学会や論文誌において発表し、議論しながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関変更に伴い、研究協力者が一時的に減ったため、研究協力者が使用する計算環境設備の支出が少なくなり、次年度使用額が生じた。令和2年度は研究協力者の協力が得られるため、令和2年度予算とあわせて、研究協力者の計算環境整備に使用する。
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