研究課題
本研究は、対人コミュニケーションの起点となる顔印象の知覚特性について、データ駆動処理計算による数理モデル化を行うことを目的としている。本年度は前年度までの研究内容を拡充させ、主に以下の2つの研究課題の完成に努めた。研究1(顔印象知覚の集団共通性と個人差の定量化):前年度までの研究では、顔印象を規定する特徴をデータ駆動処理計算により特定するモデル化手法を複数検証してきた。本年度は、様々な顔画像に対する魅力印象評価のデータを交差分類変量効果モデルにより解析し、顔の物理特徴に対する観察者の印象の感じ方には集団共通性と個人差が同程度に影響を及ぼしていることを明らかにした。顔印象知覚の集団共通性については、比較認知科学的な視点からも分析を行い、その成果は査読付き総説論文として掲載された。その他、顔特徴のモデル化手法についての個別の研究成果は、査読付き国際論文として複数掲載された。研究2 (ヒトの顔構造と印象知覚の進化的起源):ヒトの顔印象知覚の普遍性の進化的起源を探るために、ヒトとヒト以外の霊長類の顔構造とその発達的変化を分析する研究を実施した。ヒトと近縁の霊長類4種の大人と子どもの顔画像を解析した結果、若さや可愛さの印象の手がかりとされる、顔に比して大きな目はどの種においても子どもの典型的特徴であることが分かった。一方で、垂直方向に短く全体として丸い顔形状はヒトにおいて特に顕著な特徴であることが分かった。これらの研究成果は、査読付き国際誌に掲載された。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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