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2021 年度 実施状況報告書

真性粘菌の数理モデルをリザバーとした極端な一般化能力を持つ機械学習手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K20388
研究機関神戸大学

研究代表者

谷 伊織  神戸大学, 情報基盤センター, 助教 (70751379)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード真性粘菌 / Physarum polycephalum / 物理リザバー計算
研究実績の概要

本研究では真性粘菌 Physarum polycephalum のモデルを利用したリザバー計算とは,大規模かつランダムな固定されたニューラルネットワークと学習可能なリードアウトからなる再帰的学習の手法である.前者の重みが固定されたネットワークはリザバーと呼ばれ,入力情報の処理と記憶を行う.近年では,リザバー部分を大自由度の力学系に置き換えた物理リザバー計算もよく研究されている.
本研究で着目する粘菌の変形体は,単細胞・多核体のシンプルな生命体でありながら,一種の情報処理能力を有することが知られており,物理リザバーとして利用できる可能性が高い.また,二次元的に附置された栄養物質に対して,特異的な原型質ネットワークを形成することから,画像のような二次元的データの特徴量抽出機としても利用できる可能性がある.
そこで,本研究では真性粘菌の数理モデルを用いて,これらを物理リザバーないし画像特徴量抽出機として利用可能であるかどうかを検討する.現在まで,MNISTデータセットなどの基本的なデータセットを対象に,画像特徴量抽出機能について実験を実施し,特に少数のデータからの汎化学習などについて検証を行なっている.
一方で,粘菌モデルの計算速度がフレームワーク全体のボトルネックとなっており,これらの解消による効率的な実験の実施が必要である.今年度はボトルネックを解消ないし緩和する方法を開発し,より大規模な実験を実施することで,当該フレームワークの有効性を示す.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究で用いている粘菌モデルは他のモデルと比べて粘菌の挙動の再現性において優れるが,非同期オートマトンに基づくため並列化が困難であり,計算速度の向上が難しいという課題がある.ここが,学習フレームワーク全体のボトルネックとなっており,大規模な実験実施を困難にしている.

今後の研究の推進方策

本研究のモデルは,並列コンピューティングによる高速化が難しい反面,主記憶容量を十分に確保できていれば,計算プロセス自体の負荷はさほど大きくない.今後はコンテナ技術等を用いて粘菌モデルのプロセス自体を複数同時実行し,並列的なプロセスからデータを取得するなどして,ボトルネックを解消・緩和する方法を検証する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの感染拡大が収束しなかったことにより,旅費の多くが執行できなかったことが挙げられる.また,研究の進展が計画より遅れていることにより,英文校正費用などの諸費用が使用されていないことが挙げられるが,これらは今年度内に執行できるように計画を再設定している.

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公開日: 2022-12-28  

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