真性粘菌は原初的な単細胞生物でありながら一種の情報処理能力をもち,生物を計算機素子として用いる研究において広く利用されている.本研究では,真性粘菌の数理モデルと初等セル・オートマトンを相互作用させ,真性粘菌を一種のメモリ領域として利用する方法を提案した.通常の初等セル・オートマトンにおいて,独立した88のルールに対して,クラスIVと呼ばれる複雑で高い計算能力を示すものはわずかに1ルールしか知られていないが,本提案手法ではほとんどのルールに対してパワースペクトルのべき分布によって特徴づけられるクラスIV的挙動が認められる.
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