研究課題/領域番号 |
19K20409
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
齋藤 裕 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60721496)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | エピゲノム / DNAメチル化 / PacBio / バイオインフォマティクス |
研究実績の概要 |
細菌や真核微生物のエピゲノム研究では、様々な種類のDNAメチル化(5mC、6mA、4mC)を検出可能なPacBioシーケンサーが、Illuminaシーケンサーよりも広く使用されている。しかし、PacBioメチル化データを解析するためのバイオインフォマティクス技術は発展途上であり、特に、メチル化をサンプル間で比較して変化を検出する解析には確立された手法が存在しない。これまでに研究代表者は、Illuminaシーケンサーから得られるメチル化データの解析技術を開発してきた。この経験を活かして本研究では、PacBioデータからメチル化変化を高精度に検出する新しい解析技術を開発する。また、この手法を公開されている様々な微生物のPacBioデータに適用して、これまで見過ごされていた生育条件や発生段階によるメチル化変化の新たな発見を目指す。 今年度は、PacBio社の提供している単一サンプルからのメチル化検出手法ipdSummaryにおいて使用されている一般化隠れマルコフモデルに関して調査を行い、本手法を拡張してサンプル間比較によるメチル化変化検出技術を開発するための理論の検討を行った。 また、細菌や真核微生物のメチル化の特徴として、ほ乳類のCpGメチル化に比べてメチル化レベルが低いことに着目して、低メチル化レベルを適切に扱える新しい隠れマルコフモデルを開発して、論文発表を行った(Lee et al. DNA Res. 2020)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、PacBioメチル化データ用の隠れマルコフモデルに関する調査が完了し、メチル化変化検出技術を開発するための準備が整った。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までに開発した低メチル化レベルを適切に扱える隠れマルコフモデルの知見を取り入れ、メチル化変化検出技術を開発する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
来年度、開発技術の実装と検証に大規模な計算機実験が必要となるため、2020年度に計算機使用料として計上していた予算を2021年度に使用する計画にした。
|