本年度は、音声や触覚(振動)などの情報を提示しながら、四肢運動を評価可能なシステムについて検討を行った。構築したシステムでは、深度カメラを用いて、被験者の各関節の3次元座標を計測して四肢運動を評価することが可能である。そして、被験者が足踏みなどのタスクを行っている途中で、振動子を用いた触覚(振動)情報、スピーカーから音を出力することによる聴覚情報、ディスプレイに図形などを表示することによる視覚情報の3種類のフィードバックをランダムに与えることができる。そして、フィードバックを与えてから被験者が反応するまでの時間や四肢運動を評価することが可能である。構築したシステムを用いて、高齢者と若年者における反応時間の違いなどを定量的に評価できる可能性を確認した。 また、眼球運動と四肢運動の双方の観点から評価するためのシステムについて検討を行った。構築したシステムでは、PC操作中の被験者の視線とマウスの操作情報を計測し、計測した視線から眼球運動を評価することが可能である。さらに、マウスカーソルの位置情報を記録し、マウスカーソルの移動速度や移動軌跡の特徴に基づいて上肢機能も同時に評価可能とした。 また、構築したシステムでは、アイコン探索タスクとマウス操作タスクの2種類のタスクを行うことが可能である。アイコン探索タスクでは、様々な背景を設定することができ、背景の特徴の違いによって被験者がアイコンを探索する過程がどのように変化するかを把握可能であることを確認した。また、マウス操作タスクでは、被験者に目標の図形を表示し、目標の図形をトレースするタスクを行うことが可能である。目標の図形は簡単に変更でき、被験者がどのような方向へマウスを移動させるのが苦手であるかを把握することが可能であることを確認した。
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