研究課題/領域番号 |
19K20414
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣井 慧 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30734644)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 被害予測 / 時空間解析 / データ同化 |
研究実績の概要 |
本研究は、安全な避難経路、避難タイミングの提示を目的として、水害時に通行不可能となる道路を提示するシステムを開発する。中小河川・水路からの氾濫 (内水氾濫)は水害初期から発生するが、この氾濫を検知する観測機器は未だ整備されていない。H3年西日本豪雨では、高精度に検知できる大河川洪水の発生が判明した時点で、既に内水氾濫により道路は冠水し通行不可能、避難困難となり多くの死者を生じた。申請者は平成27年採択の科研費(若手B)で、内水氾濫の発生源である中小河川の観測機器と危険箇所の氾濫予測手法を開発した。本研究はこの予測手法を拡張し、(a)水位観測データをもとにしたデータ同化による市街地全域の冠水位観測、(b)予測結果を用いた通行不可能となる道路の予測、(c)マップ上に提示するシステムの開発を行う。大規模な被害につながる災害事象が起きる前に避難ルートを示し、安全な避難を支援するシステムを開発することで、被害の大幅な低減につなげる。2年目である2020年は、(b)冠水予測結果を用いて、冠水する道路を予測する「通れない道マップ」の開発を目的に、1過去の豪雨事例のデータを利用した予測結果を用いて道路状況を推定するしくみとそのデータを可視化した通れない道マップの開発を実施した。研究開発は予定通り進捗したが、リアルタイムでのシステムとするため、観測機器を数台設置する予定だったがコロナによる移動制限のため、観測機器の設置については2021年度に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年の研究開発項目としてあげた、(b)冠水予測結果を用いて、冠水する道路を予測する「通れない道マップ」の開発について、 1過去の豪雨事例の予測結果を利用した、冠水位の予測結果から、道路の状況(歩行可能、通常の歩行困難、歩行不可能)を定義、冠水の予測値を利用して、通行不可能な道路の状況変化タイミングを算出、冠水の予測精度が低精度である道路に対しての予測精度向上のため、通行止や移動データ(GPSデータ)を用いパラメータ補正し、移動可否を推定について計画通り実施したため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2021年度は、(c)冠水発生までの短時間で通行不可能な道路の予測結果を提示するシステムの開発を中心に、 1冠水位の予測結果から、予測結果の提示システムとアプリケーションのプロトタイプを構築、既往水害のデータを用いて、定量的評価を目的とした実証実験、過去の水害例の情報提供タイミング・被害量から、被害を最小化する避難経路、避難タイミングを導出し避難シナリオを作成の3項目を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開発は予定通り進捗しているが、リアルタイムでのシステムとするため、観測機器を数台設置する予定だったがコロナによる移動制限のため、観測機器の設置については2021年度に実施することとした。そのための費用について使用額と予定額に差分が生じた。
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