最終年度は,位置情報付きの投稿写真から地域の特性を表現し,共通特性を有するサブ地域に分割する手法の確立に着手した.Location-Based-Social-Networksには位置情報付きの写真が数多く投稿されており,それらの被写体が撮影場所の特徴をよく表しているため,ホットスポットの抽出に広く用いられている.しかし,投稿数の多い有名な観光スポットばかりが取り沙汰され,潜在的なスポットに焦点が当てられない傾向にある.本研究課題では,写真の特徴分布が共通するPOI群をエリアとして抽出し,周辺エリアに比べてそのエリアに多く出現するトピックによりエリアを特徴づける手法を提案した.具体的には,投稿写真の位置情報から最小全域木を構築し,深層学習の画像認識手法として広く用いられるVGG16により計算した投稿写真の特徴分布にしたがって木を切断することで,対象領域をサブエリアに分割する.東京都内で撮影された写真群を用いた評価実験により,特徴分布が類似する意味的凝集性と撮影位置が近傍する位置的凝集性の観点で,既存手法より優れていることを示した.さらに,対象領域全体の特徴分布と比較して,分割された各エリアが特徴的なトピックを有しているかという観点からも評価し,各エリア特有の写真を抽出した. さらに,ネットワークの局所的なトポロジカル構造に着目した構造同値性からノードの役割を抽出するモチーフロール分析法を,エッジの有無が確率的である不確実グラフに適用し,より現実に則した分析手法として確立した.
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