研究課題/領域番号 |
19K20426
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中山 祐貴 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (80761569)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 議論遂行能力育成 / 有用事例抽出 / ソーシャルメディア / 情報視覚化 / 教育工学 |
研究実績の概要 |
PBLなど主体性の高い学習活動における議論は,全体成果に影響を与える重要な存在である.その能力を育成するためには,未熟者に議論経験を積ませるべきであるが,参考になる事例の準備困難性などの問題から,十分に行えない実情がある.本研究では,初学者に対して「議論を遂行するための経験(引き出し)」を自ら醸成するきっかけとなる事例を与える能力育成手法を開発する.具体的には,情報発信メディアとして活発に利用されているソーシャルメディアをソースとして,支援対象議論と話題が類似する議論の抽出手法,議論活性度の推定手法,および,性質別の発言や議論構造を抽出する手法を開発する.これらの手法を導入し,ソーシャルメディアから,有用な議論事例(発言・議論展開)を抽出・示唆するシステムを開発する.これにより,身近な潜在ソースを活かした議論遂行能力育成の新たな可能性を探る.
2019年度は,主に,類似議論抽出手法,議論活性度推定手法の開発に取り組んだ.まず,実際の議論における発言様態と議論展開を入念に観察・分析した.次に,ソーシャルメディア(Twitter)でのツイートを対象に,リツイートやリプライ,ハッシュタグから議論のテーマを体現するフレーズを抽出することで,支援対象議論と話題が類似する議論を抽出する手法を開発した.また,類似議論を構成する発言をクラスタリングし,その状況分析に基づく議論活性度の推定について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に予定していた「類似議論抽出手法,議論活性度推定手法の開発」を実施することができ,概ね予定通りのスケジュールで進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,主に,性質別の発言・議論構造の抽出手法の開発に取り組む.まず,ソーシャルメディア上から抽出した類似議論について,その議論を構成する発言群を分析し,性質別に分類する.次に,性質別の発言クラスタから,時間軸,リプライ情報の分析に基づいて議論構造を抽出する手法を開発する.本研究では,いくつかの異なるレベルで議論構造を抽出する.また,これらの各抽出手法を順次モジュール化し,示唆システムの設計に着手する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2020年度は,抽出手法開発のために,分析作業を入念に行う必要があると見込まれるため. (使用計画)各作業段階における十分な議論・検証のために,研究協力者との打合せを実施する予定である.
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