研究課題/領域番号 |
19K20427
|
研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
村川 弘城 日本福祉大学, 全学教育センター, 助教 (90736761)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 教育工学 / 教材研究 / 教育方法 / ゲーミフィケーション |
研究実績の概要 |
2019年度は、ゲーム型教材のレビューを行い、攻略法を考えることによって何らかの教育的意味が見出されるゲームを抽出し、以降の研究につなげることを目標に研究を行った。特にレビューを行うために、様々なゲーム型学習教材を様々な人に利用してもらい、攻略法の分類を行い、教育効果との関係へとつなげることを目指した。 具体的に、算数・国語・理科・社会に関する23のゲームに対し、以下の5つのステップで攻略法の分類を行った。1.大学生5名を3名と2名に分け、13個のゲームを行わせ、その攻略法について考えさせた。2.出てきた攻略法196個をもとに分類を行った(分類(Ver.1))。3.大学院生1名に13個のゲームを実施させ、196個の攻略法を分類(Ver.1)に当てはめさせた。異なるものに関して協議を行い、その後分類(Ver.1)を修正した(分類(Ver.2))。4.先ほどとは異なる大学生8名を4名ずつに分け、13個のゲームを行わせ、その攻略法について考えさせた。その後に、分類(Ver.2)に攻略法を当てはめさせ、「その他」に含まれていた項目に対して協議を行い、その後分類(Ver.2)を修正した(分類(Ver.3))。5.大学生8名のうち6名を3名ずつに分け、先ほどと異なるゲーム10個を行わせ、その攻略法について考えさせた。その後に、分類(Ver.3)に攻略法を当てはめさせ、「その他」に含まれていた項目に対して協議を行った。結果、分類(Ver.3)に全て含まれていたため、分類(Ver.3)を完成版とし、理解に齟齬があった部分に対する若干の修正を行った。結果は、11個の分類となった。 2020年度はこの分類をもとに学習者の取り組み方と攻略法の関係を明らかにしていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、もっと多くのゲーム型教材を集めて実施することを考えていた。しかし実際には、パズルやトランプの柄を他のものに当てはめただけのものなどが多かった。数をこなすことに頼らずに分類の信頼性を高めるため、複数回異なる学生に対して実施するなど、研究方法の部分で工夫をこなすことで成果を得ることができた。 数をこなしつつ、この方法を実施できれば、「(1)当初の計画以上に進展している」と言えるかもしれないが、その部分が当初の計画より弱いため、「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度からは、以下の流れで当初の予定通り計画している。しかし、基本的にアナログゲームを対象とした研究のため、新型コロナウイルスの影響により学生が大学に来れず、対面での研究が叶わない場合には、予定の変更をする必要がある。 (2020年度)ゲーム型教材への学習者の取り組み方と攻略法の関係を明らかにする:ゲーム型教材に対する学習者の取り組み方と攻略法の内容の関係を示すことで、攻略法を考える、考えさせることを教育方法として検討する上での下地とすることができる。また、2021年度以降に実施する、時間経過及び共有方法の違いと攻略法の関係を明らかにする上での予備調査となる。本来、360度カメラなどで学生の取り組み方を調査しようと考えていたが、学生を集めることが難しい場合、聞き取り調査などへの変更を検討する。 (2021年度)時間経過によるゲームへの取り組み方と攻略法の変化を明らかにする:時間経過による攻略法に対する取り組み方や攻略法の内容の変化とそのきっかけを示すことで、攻略法を考えさせるためにどういった方法をとればいいのかを検討する上での下地とすることができる。 (2022年度)攻略法の考案方法の違いによる攻略法の獲得及び内容の差異を明らかにする:ゲームの利用者は、自分1人で考えるか、それとも友達と一緒に考えるかなど、多種多様な方法で攻略法を考え出す。ここでは、考案の方法によって得られる攻略法の内容やその順序が異なるのかを明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた大阪でのアナログゲームの販売会が中止となり、それに伴う交通費及び消耗品費が余ってしまった。研究の肝でもあるゲーム型教材を集めるために適した機会であるため、次年度の中で調整したい。なお、販売会は大阪と東京で合わせて年に2回開催されているが、状況によってはもう一年ずれ込む可能性もあるため、他の方法を検討する可能性もある。
|