生態系に重大な悪影響を及ぼす富栄養化は世界各地の湖沼で顕在化しており,持続的な水資源利用等の観点からその解決が急務となっている.リンは,窒素と並んで湖沼の富栄養化の指標であるが,低酸素状態の水が湖底に接した際に溶出するという特殊な化学的特徴を有している.しかしながら,酸素分布の形成プロセスが明らかとなっていないため栄養塩動態の解明が進んでいない.本研究では,流体力学・海洋物理学を研究する立場から,湖沼の富栄養化問題と物理過程の関係性に注目し,茨城県霞ヶ浦における水環境形成メカニズムを解明するために,物理学・化学・生物学の学際的アプローチを統合させた解析を実施した.
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