化石燃料の燃焼から多く排出されるススは強い光吸収性を有するため、地球温暖化に正の影響を及ぼすと言われている。スス粒子の大気中での寿命に関係する粒子表面の濡れ性について、東京観測を実施した。非吸湿性粒子の臨界過飽和度が粒子の表面状態に対して異なることを利用し、雲凝結核計数器を使用した表面状態別粒子の個数測定法を考案した。ラッシュアワー時、疎水性粒子も存在するが、殆どの非吸湿性粒子が微量な水溶性物質を有していることが示唆された。採取したスス粒子を透過型電子顕微鏡で観察した。元素分析と水透析法から、燃料に含まれるNaやKが起因と考えられる水溶性の微量付着物がスス表面に存在することが示された。
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