光吸収性粒子が雪氷面に沈着すると太陽放射を一層吸収し、雪氷の反射率を低下させる。北極圏における気候影響を定量的に理解するため、まず水中の黒色炭素粒子(BC)と黒色酸化鉄粒子(FeOx)の質量濃度を高精度に測定する世界初の技術を確立した。次にその手法を用いて、北極域に沈着したBCとFeOxの質量濃度、粒径、沈着量の広域分布を明らかにした。従来広く参照されている積雪中BC質量濃度は、本測定結果に比べて10倍程度も過大評価し、雪面反射率の推算値にも波及的に大きな不確実性を持つ可能性を示唆した。また、北極低緯度から高緯度にかけて濃度と粒径が小さくなり、低緯度からの輸送時の降水除去の重要性も示唆した。
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