本研究では、新手法による過去の気候変動の復元を目指して、福井県水月湖の過去15万年間の堆積物からセルソーターを用いて化石花粉を高純度抽出するとともに、抽出した化石花粉及び現生花粉の酸素・水素安定同位体比測定を行った。その結果、花粉の酸素安定同位体比は石筍の酸素同位体比などと同期的な変動を示すなど、モンスーンの影響を強く受けていることが示唆された。安定同位体比を用いた高精度古気候復元は、これまで氷床や海洋コア、鍾乳石などに限られていた。本研究は、安定同位体比を用いた古気候復元を陸上堆積物でも実現するもので、今後、様々な陸上堆積物への応用が期待される。
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