研究課題/領域番号 |
19K20451
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
恵谷 玲央 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (20783450)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / 放射線 / 白血病 / 遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
まず、マウス部分照射における諸造血組織の応答を明らかにするため、HSCが豊富でrAMLの標的臓器であると考えられるC3Hマウス大腿部に0.5GyのX線を1回部分照射し、X線が直接照射された大腿骨の骨髄とX線が直接当たってない脾臓中のHSC数とrAML発症に必須なSfpi1遺伝子の変異を持つHSCの割合を継時的に解析した。照射4週間後に大腿骨中HSC数は非照射群に比べ減少したが、脾臓中HSC数は増加した。また、X線照射したマウスにおけるSfpi1遺伝子欠失を有する大腿骨中HSCの割合は、非照射群に比べて照射群でわずかに増加した。さらに、Sfpi1遺伝子欠失を有する脾臓中HSCの割合は照射1週間後、4週間後ともに増加した。Sfpi1欠失遺伝子を有する大腿骨および脾臓中HSCの割合と照射後の経過時間との間には有意な関連が認められた。大腿骨への部分照射がX線が照射された大腿骨のみならず非照射部位の脾臓のHSCの細胞動態にも影響を与え、Sfpi1遺伝子欠失を有するHSCが大腿骨から非照射部位の脾臓に移行した可能性が示唆された。頭蓋骨中にも骨髄が存在しrAMLの標的臓器と考えられる。今後、頭部照射でも同様の機序により、X線非照射部位の諸造血組織中HSCにおいてSfpi1欠失遺伝子の割合が増加するか解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初使用を予定していたX線照射装置の仕様に変更が生じ、照射条件の再設定のために予備実験を行ったため照射をスケジュール通りに実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響のため、県外協力施設に設置されている放射線照射装置の利用の目処が立たない状況である。したがって今後、動物飼育・照射実験場所を変更して行うことで対応する。また、2021年度中に実験を完遂させるため、照射方法に修正を加えて実験を行う。全身あるいは頭部・腹部・下肢に1回あたり0.1GyのX線を合計10回(1 Gyに相当)照射し解析を行う。これにより当初の研究目的である頭部部分照射を含めた0.1 Gy のX線の繰り返し照射が AML 発症に必須な Sfpi1遺伝子欠損の頻度を蓄積させるか否かを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたキットの購入費が少なく済んだため。また当初予定していた解析を一人で行うことができるようになったたため、人件費が不要となった。不要となった人件費は次年度に充てる。
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