研究課題/領域番号 |
19K20452
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
永根 大幹 麻布大学, 獣医学部, 講師 (10772064)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線 / 被ばく / 心血管疾患 / 一酸化窒素 / 炎症 / 細胞老化 |
研究実績の概要 |
近年、放射線被ばくにより心血管疾患リスクが14-18%上昇することが報告された。この放射線による心血管疾患の病態は未だ明らかとなっていないが、心血管系の細胞老化とそれに伴う慢性炎症の関与が示唆されている。申請者はこれまで、放射線が照射された血管内皮細胞において一酸化窒素(NO)が産生されること。また、産生されたNOにより血管内皮細胞が老化することを明らかにした。この放射線誘導性NOによる細胞老化は、被ばく後の心血管疾患の病態形成に関与すると考えられる。 本研究の目的は、血管内皮細胞における放射線誘導性NOの細胞老化機構の解明であり、2019年度は放射線誘導性NOによるDNA損傷応答および老化関連遺伝子発現の変化と転写因子を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度の計画した項目に関しては、概ね順調に結果が得られている。血管内皮細胞に放射線を照射するとDNA損傷応答に関与するTP53およぶ炎症性サイトカイン産生に関与するNFκB p65の発現が亢進した。また脂肪酸合成を制御するSREBP-1が減少した。この転写因子に生じた変化はNO合成酵素阻害剤処理により抑制された。以上から、放射線誘導性NOにより制御を受ける転写因子を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究により、複数の転写因子がNOにより制御を受けることを明らかとした。そこで次期研究期間では各種転写因子がNOによりニトロシル化するのか明らかにする。また、マウスを用いてin vitroで得られた分子機構が再現するか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
、当タンパク質抽出装置を当初の予定より同タイプの小スケールな装置に変更したため差額が生じた。
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