研究実績の概要 |
思春期前のフタル酸エステル類およびリン酸トリエステル類の曝露による第二次性徴発来への影響を明らかにするため、北海道スタディのコーホートの参加者へ第二次性徴に関する調査票(11歳)1,365件、小学校の学校健診記録から転記する身長体重調査票(12歳)1,343件を発送した。回収数は11歳691件(回収率50.6%)、12歳532件(回収率39.6%)であった。 思春期前の環境化学物質の曝露評価として、7歳の時に回収し冷凍保存している児の尿検体よりフタル酸エステル類代謝物10化合物の尿中代謝物濃度をLC-MS/MSで測定した。DiNPの代謝物(MiNP, OH-MiNP, cx-MiNP)について再定量の必要性が不可欠であることが示唆されたため、これまで測定した全ての検体について再定量を実施した。その結果、中央値濃度(検出率)がMiNP 0.1ng/mL(18.1%), OH-MiNP 0.1ng/mL(33.6%), cx-MiNP 1.6ng/mL(75.8%)からMiNP 0.6ng/mL(94.6%), OH-MiNP 3.0ng/mL(93.1%), cx-MiNP 2.0ng/mL(96.9%)へと増加した。また、複数の分析機関が同一試料を用いて測定するラウンドロビン試験(GEQUAS-RV64)に参加し、フタル酸エステル類の尿中代謝物7化合物(MiBP, MnBP, MBzP, MEHP, MEOHP, MEHHP, MECPP)の測定結果の妥当性を検証した。MnBPとMECPP以外の項目全てについて許容範囲内であることが証明された。その後、MnBPとMECPPのデータを見直したところ、この2化合物についても許容範囲内であることが確認できた。 今後も引き続き同定量法でのフタル酸エステル類測定を継続するとともに、リン酸トリエステル類の曝露評価も進めて行く予定である。
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