研究課題
若手研究
近年、抗生物質が効かない細菌 (薬剤耐性菌)が世界規模で増加し、問題となっている。本研究では、河川水及び湖水といった環境水から単離したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌 (CRE)の全ゲノム配列を決定して、解析を行った。本研究の結果、環境水中のCREは、今まで報告例の少ない様々なカルバペネマーゼ遺伝子 (FRI、GES-5、IMI、SFC、SFH-1)を保有することがわかった。
環境微生物学
本研究により、環境水中の薬剤耐性菌は、臨床現場では珍しい薬剤耐性遺伝子を保有することが判明した。これらの薬剤耐性遺伝子を保有した薬剤耐性菌が実際に人々に取り込まれ、アウトブレイクを引き起こすかは、今のところわかっておらず、今後の研究で明らかにしていく必要がある。しかし、本研究では臨床現場でも報告例のあるカルバペネマーゼと菌種の組み合わせが検出されたことから、今後注意して環境由来の薬剤耐性菌をモニタリングしていく必要があることが示唆された。