研究課題
若手研究
本研究では、アラスカ永久凍土層の氷試料を標的として、氷中に含まれる未知・未培養微生物の実態解明に取り組んだ。その結果、氷中にはActinobacteriaとProteobacteriaが主に優占することと、未培養候補門やAcidobacteria等の新規微生物が局所的に準優占することが見出された。メタゲノム解析により、有機物分解やガス生成に関わる生態機能をもつ未培養系統群も検出された。現在、それらと現場の地質学的・地球化学的データとの関連を考察中である。
微生物生態学
地球環境変動によって大融解が促される永久凍土は、有機炭素の巨大な貯蔵庫である。この種の凍土には、肉眼では見えないが、多種多様な微生物(特にバクテリアやアーキアなど原核生物)を含んでいる。凍土融解による物質循環インパクトを考察するうえでは、それら微生物の実態と代謝機能の情報も重要であると考える。本研究で得た微生物群集構造とその生理生態の知見は、凍土融解時に現場で増殖して機能しうる微生物を考究するための基盤的知見になる。