本研究は透水性と耐薬品性に優れるロバスト炭素膜の下水再生処理への応用を目的としている。2019年度はロバスト炭素膜の微量化学物質に対する除去性評価を行った。ポリアミド膜にカーボンナノチューブを配合したロバスト炭素膜と、カーボンナノチューブを含まないポリアミド膜を使用し、実験室規模の膜処理装置を用いてN-ニトロソアミン類7種と医薬品類8種に対する除去性能を比較した。 ポリアミド膜に比べてロバスト炭素膜では透水性が40%向上し、親水性の高いカーボンナノチューブを含有することで膜の透水性が大きく向上することが確認された。膜の透水性が向上すれば膜処理の運転圧力を下げることができ、運転コストの削減につながる。一方、除去性評価の結果、NDMA、NMEAを除く13物質に対してポリアミド膜とロバスト炭素膜は同程度の除去率(>92%)を有することが明らかとなった。カーボンナノチューブの含有によってロバスト炭素膜は透水性が向上するうえ、分子量が100 g/mol以上の物質について高い除去性を維持することが示された。今後様々な運転条件下における実験を実施し、ロバスト炭素膜の性能をさらに評価する。
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