| 研究課題/領域番号 |
19K20480
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| 研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
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研究代表者 |
山中 理代 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (20573819)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 汚染物質低減・除去 / シロキサン発生抑制 / 宇宙環境利用 / シリコーン系接着剤 / 微小スペースデブリ |
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| 研究実績の概要 |
本研究では、過酷な熱環境や真空環境下でも使用材料からの放出ガスによる汚染での機器の不具合を抑制する技術の確立を目指し、主な汚染物質の対象をシロキサン系化合物として、その低減・除去に有効で、かつ、宇宙機打上げ時の振動や衝撃にも強靭な耐性を有する吸着材料の探索と対策手法の研究を推進してきた。
これまで、吸着性能に優れた吸着材料候補としてゼオライト系2種類と活性炭系1種類から23種類の吸着材料候補を製作し、ゼオライト系基材の吸着材料候補11種類について高精度ガス吸着装置を用いた比表面積測定や細孔分布測定と解析を進め、絞り込んだ吸着材料候補の再現性の確認と、吸着材料の吸着性能の評価及び新規汚染管理手法の構築に取り組んだ。また、最適な吸着材料の選定に必要な吸着材料の吸着性能評価として、高精度ガス吸着装置を用いた19種類の吸着材料候補の比表面積測定や細孔分布測定と解析を行った。シロキサン系化合物に対する吸着材料候補の脱着特性評価では、複数の吸着材料候補が200度以上の高温まで室温で吸着したシロキサン系化合物を保持し続ける吸着性能を見出した。
本年度は、吸着材料候補4種類の吸着性能評価を行い、本研究の主要課題である＜宇宙機での使用に向けた選定吸着材料の耐性向上と新規汚染管理手法の提案＞の克服に向け、シロキサン系化合物に対する脱着特性評価結果に基づき選定した吸着材料候補について繊維やマシュマロゲルを活用したフレキシブル性付与検討に加え、粘土粉末混合による機械的耐性向上に取り組んだ。製作した繊維を活用したフレキシブル性吸着材料試作品2種類と、粘土粉末混合吸着材試作品53種類の内8種類の試作品のアウトガス測定評価試験も実施した。一方、汚染防止効果評価は外出自粛に伴い遅延しており、フレキシブル性吸着材料の吸着材料含有量等の最適化も研究途上のため、引き続き本研究課題に取り組み体系的な評価を進める。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、3年間の事業期間を【第Ⅰ期／3課題】（初年度～2年度前半）、【第Ⅱ期／2課題】（初年度後半～2年度）、【第Ⅲ期／1課題】（最終年度）に分け、それぞれに設定した全6課題の克服を通して研究を遂行するとしている。本研究の現状は外出自粛や分析装置の不具合による遅延が生じ、宇宙機打上げ時の振動や衝撃にも強靭な耐性を有し宇宙環境においてもシロキサン系化合物等に対する吸着性能を十分発揮する新規な吸着材料の開発にやや遅延が生じている。
【第Ⅰ期】で設定の課題（3）吸着性能に優れた吸着材料候補の製作については、吸着材料候補として23種類の吸着材料候補の製作を完了。再現性確認用の吸着材料の製作も完了し、予定通りに進んだ。
また、研究計画で【第Ⅱ期】に設定した課題（4）吸着材料の吸着性能評価と新規汚染管理手法の構築において、最適な吸着材料選定に必須な吸着材料の吸着性能評価に資するため、課題（3）で製作した23種類の吸着材料候補の内全ての吸着材料候補の高精度ガス吸着装置を用いた比表面積測定や細孔分布測定及び解析も完了した。課題（5）選定吸着材料の汚染防止効果の明確化においては、初年度に特定明確化したシロキサン系化合物に対する吸着材料候補の脱着特性評価を実施し、複数の吸着材料候補において高温までシロキサン系化合物を保持し続ける特性を見出した。
一方、【第Ⅲ期】からの課題である宇宙機での使用に向けた選定吸着材料の耐性向上と、新規汚染管理手法の提案では、フレキシブル性吸着材料試作品及び、粘土粉末混合吸着材試作品の製作は実施できたが、外出自粛に伴い汚染防止効果評価及び、フレキシブル性吸着材料の吸着材料含有量等の最適化に遅延が生じている。
以上から、1課題に遅れ生じているが、研究期間の1年延長で研究の完遂が可能と判断できる。従って、現在までの進捗状況は、「（3）やや遅れている。」である。
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| 今後の研究の推進方策 |
初年度から3年度目までの研究実施により、吸着性能に優れた吸着材料の候補としてゼオライト系2種類と活性炭系1種類を選定し、23種類の吸着材料候補を製作した。更に、製作した全吸着材料候補について高精度ガス吸着装置を使い、吸着対象化合物の性質と製作した吸着材料候補の特性(比表面積、細孔分布、表面性質)の関係を吸着性能(比表面積、細孔分布、熱的安定性)の点で明らかにし、吸着対象化合物に構造的にも機能的にも適した特性を有する最適な吸着材料の絞り込みを実施した。また、特定明確化したシロキサン系化合物に対する吸着材料候補の脱着特性評価を実施し、複数の吸着材料候補において高温までシロキサン系化合物を保持し続ける特性を見出した。
【第Ⅲ期】としての課題（6）宇宙機での使用に向けた選定吸着材料の耐性向上と新規汚染管理手法の提案において、3年度目に製作した繊維を活用したフレキシブル性吸着材料試作品及び、粘土粉末混合吸着材試作品の汚染防止効果の評価を進めると共に、本研究遂行の骨格として重要なフレキシブル性吸着材料については吸着材料含有量等の最適化に取り組み、今後の本研究遂行及び成果の展開に繋げることを目指し、研究成果の最大化に繋げる。
以上の研究開発の遂行により、成果として得られる吸着材料の性能を明確にし、今後の宇宙実証実験や産業界の課題打開手法として応用可能な新規汚染管理手法を提案し技術的確立に繋げることができ、本研究の当初目標を達成する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、渡航及び外出自粛に伴う参加予定会議の開催中止やオンライン開催及び東京工業大学ゼロカーボンエネルギー研究所等への出張抑制による研究の進捗の遅れにより、旅費費目とその他費目の当初配分の内の一部が未使用となり、残額が生じた。次年度、本研究の更なる成果創出に有益な場と考えられる学会への参加や、東京工業大学先導原子力研究所等での本研究の実験実施のため、次年度使用となった助成金を活用する計画である。
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