pHマッピング法は,迅速性および経済性の点において既存地熱探査手法より優位であると考えられるが,未だ概念の提唱にとどまり,実用化に至っていない。 本研究では,地熱貯留層位置が明確な地熱地域において,pHマッピング法による探査を実施し,その結果を精査することで概念の検証および性能評価を実施し, pHマッピング法の実用化に向けた課題の抽出およびブラッシュアップすることを主な目的としている。 これまでに,地熱貯留層位置が明確な地域における検証を実施し,pHマッピング法による地熱貯留層位置の推定には「EC-pHグラフの検証」と「測定地 点における集水面積評価」という2つのデータスクリーニング法が不可欠であることを示した。さらに,2つのデータスクリーニング法のうち「測定地点におけ る集水面積評価」はすでに確立された手法であるが,「EC-pHグラフの検証」は既往例が存在しないことから,その汎化性を評価する目的で全国の主要地熱地域 における地表水データを収集し,ECとpHの関係性について検討した。その結果,pHマッピング法が国内の主要地熱地域において適用可能であることを示唆する結 果を導出することに成功した。 さらに,過去に地熱関連調査が実施されておらず,既存データの乏しい地域においてpHマッピング法を適用することを想定し,「開発に適した地熱貯留層位置を 推定するために必要なデータ数や,データ密度の定量評価」について,地形学や地球統計学的手法を駆使した検討を実施した。
|