研究実績の概要 |
本研究は、都市を流れる農業用水の持続的かつ自律的な管理に求められる資源戦略を、都市住民と農家の共同に着目して探求することを目的としている。このために、主に石川県金沢市の用水を対象に、保全すべき都市内用水の調査、用水に対する都市住民の価値認識や利用実態の調査、都市住民のエンパワメントを生み出すための都市環境の検討などを行う。 最終年度であるR4年度は、R3年度に実施した石川県金沢市の4,800世帯を対象とした市民アンケートの結果をまとめて、都市住民の用水の多面的機能に対する費用負担意思額や日常的な用水利用に関する学術論文を執筆し提出した。また、本研究期間内においては、金沢市の用水環境を現地で追加的に調査している。 研究期間全体を通じて、特に石川県金沢市の農業用水に対する、都市住民の「価値認識」「資源利用」「資源保全」の実態を調査することができた。また、対象地を限定したものではあるが、この価値認識や資源保全意識を軸に、市民が自律的に用水管理を行うことに寄与する用水環境の整備方針を検討できた。研究期間内には、この他に都市内の用水環境を保全するための既存の都市計画制度や条例の設立経緯、運用の実態なども調査している。研究期間終了後においても、これらの知見をもとに、都市住民が自らの意思で都市内の用水環境を整備していくための都市環境デザインや農家の意見も取り入れた新しい用水管理のためのガバナンスのあり方を追求していきたいと考えている。
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