研究実績の概要 |
本研究は、高齢化が進む日本において65歳以上の高齢世帯を対象に、電気・ガス・灯油などエネルギー消費状況と節電取組の実態を把握することを目的としている。本研究では、世帯主年齢が65歳以上75歳未満の群馬県内4市(前橋市・高崎市・渋川市)と山形県内1町(飯豊町)の2,000世帯を対象に、2022年5月にアンケート調査を配布し、538世帯から回答を得た。 同居人数の平均値は2.5人であり、多くの世帯で世帯主と配偶者ともに「ほぼ毎日」在宅していると回答した。さらに、日常生活を送るうえでエネルギーの多くを電気に依存している傾向が高いことが分かった。ただし、オール電化の世帯は全体の20%程度であり、大多数の世帯は電気・ガス・灯油を組み合わせて使用しているのが現状であった。光熱費で見た場合、電気と灯油を使用している世帯とオール電化の世帯では支出額が相対的に低く、電気・ガス・灯油を組み合わせて使用している世帯が最も支出額が高い傾向にあることが分かった。省エネ投資として住宅の窓・サッシを「二重サッシ・複層ガラス」に替えた世帯と省エネ性が低い一般的な窓・サッシの世帯を比較した結果、両者の間に電気使用量に大きな差は観察されなかった。これら結果は単純な記述統計量による比較であるため、回答世帯の地域性やサンプルの偏りなど様々な問題を含んでいるが、家電製品のエネルギー効率性向上だけでなく、住宅全体での省エネ化(断熱性など)の向上が今後のエネルギー消費削減において最も重要な点である可能性がある。
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