研究実績の概要 |
本年度の主な研究実績は以下のとおり: ・比較思想学会2019年度大会(6月15日,16日 石川県西田幾多郎記念哲学館)にて、「予測と対処とは別の仕方で未来を想像することの正当性―和辻哲郎とアンリ・ベルクソン―」を報告し、和辻風土論の思想史的位置づけを分析し、地域の持続可能性とレジリエンスの向上に関わる関連分野の研究者と実践者に資する形でその応用可能性に関する意見交換の機会を行った。 ・International Association for Japanese Philosophy 2019(10月12日,13日 ハワイ大学マノア校)にて、「Fudo theory, Environmental ethics, Food ethics」を報告し、環境倫理学、食農倫理学と風土論の接続についてま意見交換の機会を得た。また、Thomas Jackson氏(ハワイ大学)と和辻風土論における「旅行者の体験」とP4C(こどもの哲学)の関連性についての意見交換を行った。 ・Sevilla Anton氏(九州大学)、Laina Droz氏(京都大学)、王智弘氏(地球研)、宮田晃碩氏(東京大学)らとの合宿形式の意見交換会を開催し(10月19日,20日 地球研)、風土論と教育学、環境倫理学、フィールドワーク、文学研究、表現論との接続の可能性についての意見交換を行った。 意見交換と調査を通じて、地域の持続可能性とレジリエンスの向上に関わる関連分野のにおいて「風土」という言葉が用いられる場面では、特に風土性と歴史生の相違点、つまり歴史的事実の直接的な表出ではなく、体感されて顕れる、ある種の痕跡、来歴、出来事の射影であり、そうであるがゆえにある種のゆがみが、単独ではなく、複数につながるかたちで表現されるという点が着目される傾向が明らかとなった。上記の報告ないし意見交換は、2020年度以降に刊行される論文・報告書・書籍(論文集)に反映される。
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