研究課題
本研究の目的は、紛争後社会における環境管理のために、住民組織の持つ役割を明らかにし、その役割に影響する政策を分析することである。本研究で着目したのは環境管理の「アクターのバランス」である。「環境資源」は管理の方法によって、長期的な平和構築の「糧」になり得る一方で、新たな紛争の「火種」となる可能性の両側面を備えていることがわかった。そのプロセスで重要となるのは、ステークホルダーの分析である。紛争後の政治的・社会的移行期において、政府統治能力が限られる状況においては、住民組織らが新たな役割を持ち始めたことがわかった。紛争後の時期において、住民組織が主体となって環境管理をすることによって、多岐に渡る機能を持ってきている可能性がある、と考えられる。そこで、インドネシアにおいて、住民組織の機能と意思決定プロセスについて、フィールド調査を行った。さらに、ローカルルールの策定と法政策との関連・調整について、複数村におけるケーススタディを調査することができ、比較研究できた。特に、地方自治体、大学、NGO、村落組織、農業組織、住民組織の関係者に対しインタビュー調査を行い、有益な意見を聞き取ることができた。調査結果を元に、住民組織をめぐる政策・法制度を分析し、住民組織が効果的に機能するための方法論を案出・提案する。
1: 当初の計画以上に進展している
コロナウィルスの流行により、社会活動が制限され、フィールド調査の実施方法などに、影響が出た時期もあった。
住民組織を巡り、新たな政策がとられ、新たな環境保全活動を取り入れている地域を比較し、住民組織に関連する法・政策とその影響について分析を行う。政府機関、大学、NGO、住民組織の関係者、村民らに対し、異なる立場からの見解を聞き取り分析する。ヒアリング調査と文献調査の結果を照合し、住民組織をめぐる法政策の関連性について分析する。研究成果を随時まとめ、国際会議等で発表してゆく。
コロナウイルスによる社会活動制限があったため、フィールド調査実施の際にも影響があり、次年度使用額が生じた。今年度、計画していたフィールド調査を実施することができる予定である。
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Asian Journal of Peacebuilding
巻: special issue ページ: 205-240