紛争後社会における環境管理のために、住民組織の持つ役割を明らかにし、その役割に影響する政策を分析することを目的とし、研究を実施してきた。本研究で着目したのは環境管理の「アクターのバランス」である。「環境資源」は管理の方法によって、長期的な平和構築の「糧」になり得る一方で、新たな紛争の「火種」となる可能性の両側面を備えていることがわかった。そのプロセスで重要となるのは、ステークホルダーの分析である。紛争後の政治的・社会的移行期において、政府統治能力が限られる状況においては、住民組織らが新たな役割を持ち始めたことがわかった。紛争後の時期において、住民組織が主体となって環境管理をすることによって、多岐に渡る機能を持ってきている。 特に、インドネシアにおいて、住民組織の機能と活動状況について、フィールド調査を行った。さらに、住民組織における住民らの活動参加状況とその影響について、複数村におけるケーススタディとアンケート調査を実施することできた。特に、地方自治体、大学、村落組織、農業組織、住民組織の関係者、住民らに対しインタビュー調査を行い、異なる視点からの有益な意見を聞き取ることができた。調査結果を元に、住民組織をめぐる政策・法制度と活動実態を分析し、住民組織とその活動の持つ新たな役割について分析することができた。そして、国際会議の招聘を複数回受け、これまでの研究成果を発表することができた。
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